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熱力学 : 熱力学の基礎 2025年10月
この小ノートは『教養物理学の基礎』の第5章を抜粋したものに、統計力学の基礎問題の考察を少し付け加えてまとめ直したものです。熱力学は現象論であるため、それを理解する事が非常に難しいものとなっています。しかし、熱力学の基礎は『 δ Q/T が経路に依らない』と言う事です。そして、これが事実上、熱力学の最も重要な実験事実であり、熱力学の第1法則となっています。
また、その現象論をある程度、統計力学の言葉で解説する事は可能であるとも考えています。しかしながら、統計力学はその基礎に量子力学を仮定しているため、やはり量子力学の知識がどうしても必要となっています。その意味で、統計力学の計算においては量子力学のエネルギー固有値をきちんと理解している事が前提となっています。
一方、統計力学における観測量は分配関数 Z(T) で平均を取る事により求められています。従って、統計力学を理解するためには、その平均操作の計算技術をしっかり自分のものにする必要があります。ここでは、読者がその技術をうまく使いこなすことができるようにと付録に数学のまとめを入れてあります。
第5章では統計力学の基礎的な問題に関して、少し議論しています。これらは古くて新しい問題ですが、明確な回答があるとは言えないものです。しかしこれは物理をより深く理解するためには何らかの形でプラスになって来るものと期待しています。
fffujita@gmail.com