『物理の上達法』 (2022年12月)
物理を深く理解するためには自分で理論体系を作って見ようと努力する事が最も重要である。勿論、簡単にできるわけはないが、しかし自分で作ろうと言う作業を行わない限り、物理の理論体系をきちんと理解できるはずがない。そして豊富な知識が頭に残っていてもほとんど役には立たず、物理を深く理解して始めて研究で前に進めるための必要条件が満たされるものと思われる。
それでここでは現代物理の基礎である量子場の理論をどのようなレシピ(作業過程)で作ろうとするのがベストであろうかと言う方法論を書いて行こう。しかしながら、作り方を教えても実際に作る事とはこれもまた当然、別問題である。例えば、テニスの上達法を熟知していても、テニスのストロークをうまく打つことはできない。しかしそれにもかかわらず、正しいレシピを知っている事は非常に重要である。例え身体能力が高くても、テニスの理論が分かっていないとその上達はいずれ限界に達してしまうものである。
物理は本当に難しいものである。なかなか自分のものになってくれない。余程、一生懸命に努力して演習問題を解きまくったり、新しい構想を何日も何日も考え込んで努力を重ねても、その進歩は常にほんの少しでしかない。しかしだからこそ、物理を学ぶのは本当に楽しいものである。
量子場の理論を自分で作ろうとする時、それを科学史的にやろうとするとまずは失敗してしまうであろう。現代物理に関しては、科学史は間違いだらけとなっているからである。それだけ、物理は難しいと言う事である。しかしながら、それが何であれ、自分で作ろうとしないと進歩はない。さらに、自分で手を動かして計算チェックをやらないと物理を心底、楽しむ事はできないであろう。それでここでは量子場の理論の作り方(レシピ)を紹介しよう。そしてこのレシピに従いながら自分で量子場の理論を作ろうと試みて欲しいと思っている。この場合、その内容を自分で検証する過程が大変な作業となっている事は間違いない。実際、かなり頑張っても検証には数年は掛かるのが普通であると考えているが、どうであろうか。
( fffujita@gmail.com )