うるう秒 : 地球の公転
うるう秒のことがときに話題になっていますが、人々は明らかにうるう秒の原因を誤解されています。このうるう秒を取り扱っている人達は恐らく物理と関係ない人達であろうと思われます。しかし、うるう秒の原因が地球の自転だと主張している人達はどういう専門職に従事しているのでしょうか?真空中を自転している地球がその自転の周期を変える事はありません。たとえ地球がガスか何かを一方向に放出したとしても、その場合は自転よりも公転軌道が影響してしまいます。現在、地球が何らかの物質を放出していると言う事実はありませんし、公転軌道も理論の予言からずれてはいません。地球の自転は重力以外の外力が掛からない限り、変化することはありません。
うるう秒は地球の公転がこれまでのニュートン力学の予測値から少しずれていることが原因です。それは水星の近日点移動と同じ機構となっています。当然のことですが、水星の公転軌道周期がニュートン力学の予測値からずれたとしたら、地球の公転軌道周期もニュートン力学の予測値から同程度ずれることになります。従って、原子時計による精密測定による秒時間がNewcomb が定義した正確な秒時間から少しずれているそのズレがうるう秒として観測されているものです。
詳しい計算は 重力の理論 で紹介していますので、参考にしてください。結果だけをここに書いておきます。地球の公転周期がこれまでのニュートン力学の予測値からずれる秒数は、1年間に 0.621 秒であり、これだけの遅れになっています。
これまでうるう秒の補正として40年間に25秒補正しています。これは1年間で平均 0.625 秒補正した事に対応していますので、理論からの要請とはよく一致しています。いずれにしても、このうるう秒の補正が必要な事は科学的に十分証明されています。たとえ経済的な観点からはマイナス効果になるとしても、遅れ自体を変更する事は残念ながらできません。毎年、 0.621 秒だけ遅らせるか、または5年ごとに 3 秒だけ遅らせるか、またはこれまで通り、約2年ごとに 1 秒遅らせるか、どれかを選択する必要があります。
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