相対論 : 「名著解説の間違いとその原因」 : 2021年4月
相対論について青少年用の解説書を書いた後、巷に氾濫している相対論の解説書を少し調べてみました。何故、相対論に関する多くの解説書がこれ程までに長い間、間違えた内容を人々に伝え続けたのかと言う問題ですね。しかし調べて行くうちに驚くべき事実がわかってきました。これまで大半の解説者は昔の人気教科書(ランダウ達の『場の古典論』と砂川の『電磁気学』)に書かれている知識を基に解説されていると思います。しかし実はこの有名な教科書自体が重大な理論的間違いを犯していました。
この小ノートは相対論の解説者を読者と想定して書かれています。残念ながらこれは彼らに取って少し重荷になるかも知れません。それは「物理学の教典」のような名著と思われてきた本において、相対論関連の記述が部分的とは言え、大幅に間違えているからです。その名著とされてきた教科書における重大な間違いとは、相対論を議論する時に彼らは『相対論的古典力学』と言う架空の運動力学をベースとして議論を行ってしまったと言う事実です。相対論的古典力学のような架空の力学を基礎にして相対論を議論するととんでもない混乱を引き起こしてしまう可能性があると言う事です。例えば、「ローレンツ収縮」などはローレンツ変換では取扱いができない内容ですが、これら昔の有名教科書では平気でわかったような解説をしています。現在の混迷は主にこれらの古い教科書から来ています。
科学史的にはある時期において、相対論的古典力学と言う理論形式が議論されたことは確かにあります。しかしながら、現代においては、理論形式の観点から相対論も見つめ直す必要があると言う事です。幸い、これまでの解説書が物理学における観測量に抵触すると言う事はありませんが、しかし考え方自体は若者に影響を与え続ける事になっています。その意味で解説者諸氏は相対論に関するこれまでの一般向け解説書を正しいものに書きなおす必要があるものと思っています。
[追記] : Homework Problem を付け足しています。『電車(慣性系)から光を発射させた場合、Δt 秒後の光の走行距離は静止系ではいくらか?』と言う問題です。この問題では速度合成が光では特別である点に注意が必要です。
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