電磁気学の教科書 : 冊子体の出版 (2024年10月)
電磁気学の教科書『電磁気学 (現象と理論) 』を冊子体として出版します。この教科書はすでに PDF で公開していますので [ 電磁気学 (現象と理論) ] 、冊子体の出版が特に必要であるとは考えていません。しかしながら、やはり手元に冊子体があってそれに書き込みながら勉強した方が確実にはかどると言う読者(筆者も含めて)が一定数いると思っています。それで、その少数派読者のために、少ない部数ですがこれを本として出版(自費)する事にしました。この場合、本の価格は千円に設定しましたので、苦学生でも何とか買う事ができるであろうと思っています。
昔、自分はアルバイトをしながらの学生でしたが、しかし本を買う事だけは躊躇しないように心がけていました。その当時、神田の古本屋街には定期的に訪れていましたが、良い本を見つけた時の喜びはまた格別でしたね。そして、少しでも自分に取ってプラスになるものだったら、その本を買って頑張って勉強を続けて行こうと言う信条は貫いてきました。
ある時、金沢秀夫著の『量子力学』(朝倉書店 1965 年)を見つけて、この様な本があるのかとひどく驚いたものです。今となっては古い本ですが、この本は恐らく量子力学の本では 「By far, the best」である事は間違いない事です [それどころか、70年代以降のこれまでの量子力学の教科書では、良い本どころか、まずまずのレベルの教科書さえ見当たらない程、不作(著述が難しいもの)だと感じています]。
それからかなりの年月を経たある日の夕方、その金沢先生の『量子力学』の2冊目を買おうとして古本屋街(御茶ノ水側)を捜し歩いた事がありました。それで、ある本屋に入って行き、その本があるかどうか尋ねました。その時、その本屋の女主人がでてきて『金沢秀夫は私の父です』と言われて吃驚した事をつい昨日のように覚えています。
現在、ネットやタブレット版が全盛の時代となっていますが、しかしながら本で学ぶ事の重要性は今も変わる事はありません。実際、基礎物理学(特に電磁気学)をきちんと習得するためには、計算はノートで行い、また本には書き込みをしながら理解を深めて行くと言う紙ベースの勉強法が最も適切で重要です。式やコメントを紙に書き込むと言う作業を行うと、自分の頭に残る割合が著しく増加する事は間違いない事です。学部生・院生諸君のうち例え少数にせよ、こうした紙ベースの勉強法をうまく取り入れて実力をさらに高めて行く若者が増えて行く事を切に願っています。
この冊子体の出版に関する情報は早ければ来年(2025年)始めには
電磁気学 (現象と理論) 三省堂書店
から見る事ができると思います。この本は現在、制作中で来年の3月には出版される予定となっています。
[fffujita@gmail.com]