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トンビとシロギス (２０２４年７月) 　[付記 ⊕ 付記S]

[1] トンビとシロギス

[2] 付記：境港でのサバ釣り

[3] 付記S：美保湾の船釣

[1] トンビとシロギス　

千葉の小さな港で釣りをしていると良く、トンビに出会います。これは『トンビとシロギス』のお話をまとめ直したものです。
数年前のある日、保田の小さな港(瀧島港)で釣りをしていた時の事です。確か、昼ごろの事ですが、家内が『大きなシロギスが釣れたが針が取れない』と言ってきました。それで、自分は 30 m 程離れたところでシロギスを釣り上げた直後だったので『ちょっと待ってて』と言ってまずは自分の釣ったシロギスを取り込みました。それですぐに家内の所に走って行ったのですが、何と『シロギスがいない！』と言うのです。それで『どうしたの？』と聞いたのですが、本人は何が起こったのかわかっていなく、確かにさっき見た大きなシロギスはいませんでした。しかしながら、調べて見たらシロギスを釣ったはずの仕掛け針がない事がわかり、直ぐに『シロギスが消えた原因』がわかりました。それで、辺りを見渡したら、ちょっと離れた木の上でトンビがシロギスを食べていたのです。しかし家内は釣ったシロギスをトンビに取られた瞬間をわかってはいませんでした。まさにトンビの早業ですね。本人は確かに麦わら帽子に後ろから風のようなものを感じたとは言っていましたが、結局、何が何だか分からない間にトンビはシロギスをさらって行ったと言う事のようです。しかしながら、今となっては楽しいお話ですね。それ以降、家内はトンビに特別の親近感を抱いている事は間違いない事です。
このお話よりもさらに２年ほど前の事ですが、その瀧島港で釣りをしていた時に、午後２時ごろになって突然、ヒイラギの大きな群れに出会いました。それは港の中でしたがこれはまさに入れ食い状態となっていました。この日は、最終的に５０匹くらいのヒイラギが釣れて吃驚でした。ヒイラギが美味しい魚である事は１０年前にわかっていたので [ ヒイラギと思い込み ]、これは嬉しい限りでした。それで、大漁だったため、さすがに小さなヒイラギは家に持ち帰る必要はないので、この港に捨てて行く事にしました。家内は『もう生きてはいないのにここに捨てていいの？』と心配顔でしたが、自分はいずれこれは他の魚に食べられるだろうと楽観していたものでした。それで２０匹程の小さなヒイラギを港の船道にバラまきました。ところが驚いたことに、まいた直後に数匹のトンビが現れて、あっという間にヒイラギを捕獲してしまいました。確かに、近くの木の枝にトンビがいる事は知ってはいましたが、それにしてもトンビは特別に良い目を持っているのでしょうね。自分達に取って、これは本当に驚くべき光景でした。いずれにしても、トンビはその魚が十分、新鮮である事をわかっているようで、これもトンビは状況を予想以上にしっかりと把握しているのではないかと感じたものです。
この港だけではなく、高崎港でも勝山港でも常にトンビが沢山、その周辺に集まっています。港で上がる魚のおこぼれを待っているようですね。実際、瀧島港や高崎港では魚のアラを巻いている年寄りの漁師を、昔はよく見かけたものでした。その場合、沢山のトンビが群がっていましたね。それと少し似ている光景として、昨年、釣り旅行で滞在したホテルでは朝方、そこのスタッフがトンビ達に餌をまいていました。沢山のトンビが群がってその餌を食べに来ていましたが、これはしかしあるいは観光用なのかも知れません [ トンビ ]。
しかしながらコロナ以降、小さな港での釣があちこちで禁止されてしまいました。これは、何か『小さな港の暖かさ』が失われてしまったようで寂しいものです。実際、妙な世の中になりましたね。漁業関係者の話では『釣り人が捨てるゴミ』の問題が主な理由と言う事らしいですが、確かにこのゴミの問題は釣り師のマナーと関係して何とか改善されるべきだろうとは思います。尤も、現実にはゴミを捨てる人達は必ずしも、釣り人とは言えない事は良く知られている事実ですが・・・。いずれにしても『釣禁止』の方針に関しては、釣り人だけではなく、地元(漁業関係者以外)が失うものもかなり大きいと考えられます。それはそこによそから人が来なくなると言う事ですので、その周辺にお金は落ちなくなるし、また人の交流もなくなりますね。そしてこれは実際、とても残念なことだと思っています。

[付記]　境港でのサバ釣り：　

８０年代半ばの夏のある日、境港で釣りをした事がありました。境港は境水道を挟んで島根県と接している港町ですが、そのうちの『境港水揚げ』場所でサビキ釣りをしました。その時間帯は流れがかなり速いものでしたが、しかし昼少し前には２０㎝くらいのサバが６匹ほど釣れていました。
ところが、ここは漁船が水揚げする場所であり、実際、そこに漁船が入って来ました。それで、すぐに釣りは中止としました。その当時、子供達は上が小学生で下がまだ幼稚園児でしたが、この漁船に非常に興味を持って、そこから動かないでじっと船を見ていました。その時、船員さんの一人が船から降りてきました。たまたまその漁船に『焼津』と言う文字があったため、その人に『焼津からですか？』と尋ねました。その船員さんは『そうですが・・』と返事されたので、おもわず『自分は浜松からです』と言ってしまいました。当時、勿論、東京に住んでいたのですが、どうも咄嗟の返事として浜松が出てしまったようです。その昔、浜名湖や菊川辺りまでは釣りに行く事があったのですが、さすがに焼津に釣りに行ったことはありませんでした。
その時、その船員さんはひどく懐かしそうな感じになって『船を見ますか？』と言われました。それで、子供たちは大喜びで船に上がって行きました。そこでもう一人の別の船員さんが『バケツありますか？』ときいて来られました。それでサバが入っているバケツを持って船に上がった所、そのバケツにイカとイワシをバケツ一杯になるまで入れてくれました。自分は何が何だかあまり状況は分かってはいませんでしたが、ともかくバケツ一杯の魚を頂いて、嬉しさと驚きで茫然とする思いでした。

これは当時の『田舎の人の親切心』そのものだと思います。本当は、彼ら船員さん達に取って我々は仕事の邪魔になっていたと思いますが、そういう様子を見せる事は全くありませんでした。今でも、その光景を忘れる事はなく、本当によく覚えているものです。この小ノートをその船員さんたちが読まれる可能性は限りなくゼロに近いものですが、今でもその船員さん達にお礼を言いたいものだとつくづく思っている次第です。

[付記S]　美保湾の船釣：　

『田舎の人の親切心』と言えば、このお話の数年前にやはり境港で『人の親切心』にかなり驚かされた事があります。その年の秋の始めに、船頭付きの釣り船で五目釣りに出かけた事がありました。この船頭さんは元は漁師ですが、その当時すでに漁師は引退していました。しかし頼まれれば、船を出して釣り人の面倒を見ると言う人でした。その場合の釣り船の料金は極端に安いものでした。
それで、その日の朝７時ごろに境港にあるその船頭さんの家に行きました。そして直ぐに近くの川から船で弓ヶ浜の海岸を望む日本海(美保湾)に出て行きました。釣りは岸から５～６ km 程の所で開始しました。この船頭さんにはこちら(筆者)が大学の先生である事が伝わっていたためか、釣りには全くの素人であると言う強い思い込みを持っておられたようでした。当時、自分は浜名湖で年２～３回は釣りに行っていたので、釣りの事は結構、知っているつもりでしたが、しかし彼からしたらどう見ても自分は素人そのものであったものと思います。実際、この船頭さんの釣りレベルは極めて高く、またとても親切な人だったので、ともかくすべてこの人に従う事にして釣りを開始しました。この場合、釣り方はコマセを入れた籠の下に仕掛け針を付けて、そこに餌(青イソメ)を付けて釣ると言う方法でした。これはアジなどを釣るサビキ釣りの変形バージョンだと思います。
美保湾で船釣りをするのは勿論、これが初めてでした。そこは、北西側には島根半島、南東側は弓ヶ浜となり、その先には大山があって、その景色は優美で美しいものでした。その日は極端な凪の日で海面が鏡のようになっていました。しかし２時間ほど経った頃、少し沖側の海面にさざ波が立ち始めて、そのさざ波が 500 m 位先から少しずつ少しずつこちらに近づいてくる様子が幻想的でしばし見とれていた程でした。
それで釣果の方ですが、やはり美保湾の魚の豊かさには仰天しました。特に、大きなカワハギが次々と釣れた事にこの海の豊かさを実感したものでした。結果的に、アジや大きなカレイを始めとして、持って行った大きなクーラーボックスが一杯になるほど沢山の魚が釣れて、これにはさすがに吃驚しました。これ程に良く釣れたのは、この船頭さんが元漁師だったため、この海では何処で何が釣れるのかと言う事を熟知しておられる本当のプロであった事が一番の理由であったものと思っています。
昼頃には釣りを終了してその船頭さんの家に戻りました。それで米子に帰ろうと準備していたところ、船頭さんの奥さんが『昼飯を食べて行きなさい』と言われて、これにはさすがにどうしてよいのかわからない程、驚きましたね。勿論、初めて会った人達で、しかも格安で船を出してくれた人なので遠慮したのですが、全く意に介さないで２階に連れて行かれました。そこには新鮮な魚料理が沢山並べられていて、その上、ビールで歓待して頂きました。これにはどうお礼を言っていいのかわからないものでしたが、本当に親切な人達であるとつくづく思ったものです。
帰りがけに、奥さんは『これはうちの人の道楽ですから気にしないで』と言われましたが、しかし豪勢な昼食を用意してくれたのは奥さんの方でした。ともかく、その時はそう言うものかと何となく納得したものでした。しかしこれはやはり『田舎の人の親切心』そのものでしたが、その親切心のレベルが常軌を逸している程、凄味があるものだったと今では思っています。このお話は自分がまだ３０歳代半ばの頃の事ですが、こうした経験をさせてもらった事がそれ以降、自分に取っても重要な指標となっている事は間違いない事ですね。この漁師さん夫婦は『人(この場合筆者)が喜んでくれたら自分達も楽しい』と言う姿勢を貫いていると感じたものです。

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[付記G]　:　何故、一般相対論は無意味か？　　[２０２３年１２月]

現在、一般相対論が何故，物理的には無意味な理論であるかと言う事が厳密に証明されています。これは Einstein 方程式は数学的に間違っていると言うわけではありませんが、しかし物理的には無意味な方程式であると言う事の証明です。小ノート『何故、一般相対論は無意味か？』を参考にしていただければと思います。
結局、これまで現代物理学の最も重要な命題は『新しい重力理論が場の理論的に作ることができるか？』と言う事に集約されていました。これがあれば、もともと一般相対論は不要でした。新しい重力理論に関しては [教科書 Fundamental Problems in Quantum Field Theory (Bentham Publishers, 2013) ] を参考にして頂ければと思います。
一般相対論のような物理的に意味をなさない理論に多くの人々が振り回されてきた事実は取り返しがつかない程、重いものですね。しかしこれからは前を向いて行くしかありません。この場合、物理を学ぶ時に、実は哲学を学ぶ事も重要であると考えています。特に、研究において、どのような方向に進んで行くべきかと言う事を模索している時に、哲学的な思考法は重要な指標を与えてくれることがしばしばある事は間違いない事です。詳しい事はここでは触れませんが、最近出版された『恣意性の哲学』(四方一偈著、扶桑社新書476) が少し参考になるかも知れません。この本は物理とは直接の関係はありませんが、私の最も親しい人が書いた本なのでここに挙げておきます。若手研究者は時間を見つけて是非、読んで頂きたいと思います。
[記：この哲学書の著者 (兄・圭一) は令和６年４月初めに他界]

[付記 S]：積み重なる努力　　[２０２４年１月]

現代においても、才能ある若者がその才能をあまり発揮できていない場合がよく見られています。これは才能はあっても、実際には環境とか運とかタイミングがかみ合わなかったりして、その才能をうまく開花できていないと言うことですね。それではこの場合、その才能を発揮してさらに伸ばして行くためにどうしたらよいのでしょうか？恐らく最も重要な点は、他の人よりもより多くの『積み重なる努力』を続ける事であろうと考えられます。
それでは、その『積み重なる努力』とはどのようなものなのかが問題となりますね。物理学において、自分の実力をつけるために、物理の教科書(例えば電磁気学)を何回も読んでそれをほとんど覚えてしまうような、そう言う努力をしたとしましょう。ところが、この努力は大学において試験の点数を稼ぐには効果があるかも知れませんが、残念ながらこれは積み重なっては行かないものとなっています。教科書を覚える事をしても、これは物理の基礎トレーニングにはなっていないからですね。一方において、例えば電磁気学の演習問題を執拗に解きまくると言う事を実行して行くと、これは物理における積み重なる努力に対応しています。但し、これは途方もなく時間が掛かってしまうし、また非常にタフな作業となっています。従ってこの演習問題を解くと言う基礎トレーニングを効率よく行う必要があります。それは、人が持っている時間(人生)は有限であり、そのハードな作業を一定の時間内にやり遂げる必要があるからですね。従って、この作業を実行して自分の実力をある期間内に向上させる事ができるかどうかが重要なポイントとなっています。そして、これができるかどうかも一つの(別個な)才能と言えるものかも知れませんね。

[付記SS]　:　理論物理の基礎トレーニング　　[２０２４年７月]

理論物理学の研究においてトップレベルの新しい研究を持続して行うためには『基礎物理学の演習問題を解く』と言う作業が重要となっています。例えば、電磁気学の演習問題を解き直してみるとかゲージ不変性について再検証すると言うような基本的な作業を普段から行っていない限り、高いレベルの研究を続けることは、まず不可能となっています。実際問題として、しばらく前に提案した『試験問題』を自分で解けない研究者が新しい研究を遂行できるはずがありません。理論物理学の新しい研究は常に基礎物理学を土台として、その上に成り立っているからですね。

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トンビとシロギス (２０２４年７月) [付記 ⊕ 付記S]

[1] トンビとシロギス

[2] 付記：境港でのサバ釣り

[3] 付記S：美保湾の船釣

[1] トンビとシロギス

[付記] 境港でのサバ釣り：

[付記S] 美保湾の船釣：

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[付記G] : 何故、一般相対論は無意味か？ [２０２３年１２月]

[付記 S]：積み重なる努力 [２０２４年１月]

[付記SS] : 理論物理の基礎トレーニング [２０２４年７月]

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トンビとシロギス (２０２４年７月) 　[付記 ⊕ 付記S]

[1] トンビとシロギス　

[付記]　境港でのサバ釣り：　

[付記S]　美保湾の船釣：　

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[付記G]　:　何故、一般相対論は無意味か？　　[２０２３年１２月]

[付記 S]：積み重なる努力　　[２０２４年１月]

[付記SS]　:　理論物理の基礎トレーニング　　[２０２４年７月]

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