卒業生の皆様へ : 日大アメフト選手の悪質タックル
先日来、関学のQBに対して日大アメフト選手が行った悪質タックルが随分と世間を騒がせています。この映像を見る限り、確かにスポーツにおけるルールに従った行為ではありません。その意味で非常に不幸な出来事でした。当該の選手は優秀なアメフト選手のようで残念でたまりません。実際、その記者会見での態度はとても20歳の若者とは思われないほどしっかりしていました。この選手が今後、何とか立ち直って成長してゆくことを願っています。
しかし、今の日大ではこの様な事が起こる可能性が十分あり得る事は予想されていることです。その原因は現在、日大が抱えている深刻な問題と関係しています。これは、実は教職員が学生に対して持っている基本的な考え方そのものに原因があります。すなわち、相当数の教職員にとって、現在、学生を教育して育てると言う事が最重要課題となっているわけではありません。彼らにとって大切なことは「学生は日大を支える対象」として存在していると言う事実です。大学は教育機関ですが、組織が肥大化してしまうとその組織の存続のみが主要課題となってしまう場合があり、現在の日大がこの状態に陥ってしまっているのが実状です。従って、この悪質タックル事件を惹き起こした主な原因がアメフト部が勝つことを最優先していたからではなく、もっと基本的な大学全体の姿勢にあった考えられます。勿論、試合に勝ちたいとするのは何処の大学のどのスポーツでもおなじものです。
この問題は卒業生にとって最も身近な学科においても起こっています。しばらく前のことですが、ある教員が学生10名程とトラブルになったことがありました。この時、その教員は学生達が自分の指導に対して反抗的な態度を示していることに立腹して学生の一人を「危険分子」として問題にしたほどです。尤も、その危険分子と言われた学生はアルバイトで忙しくて授業にはほとんど出ていなく、勿論これはこの教員の思い違いで、たまたま彼の名前を見知っていたからなのだと言うことがわかっています。
さらに、最近は卒研の研究室としては当該学科の研究室のみを原則、選ぶことができるシステムとなっています。その昔、半数近くの学生は卒研の研究室として原研の教員の研究室を選んでいたものでした。しかし現在は、それは原則としては「禁止」されています。学生がいろいろな研究室を卒研の研究室として選択しようと思うのは当然の事で、権利だと思うのですが、しかし現在、それは許されていません。何故、この様な事が起こっているのでしょうか?その理由の一つに、今の大学では学生の利益は最優先事項ではなく、むしろ基本的には無視されていると言う事実があります。昔なら、この様な事が起これば学生達が問題提起して立ち上がった可能性があります。しかし騒ぐと危険分子扱いにされるほどなら黙っていた方が良いと言う考え方にも一理あり、事実、この状態がずっと続いています。実際、ある他学科の教員はその後の状況を振り返り、「当該学科の何名かの教員は学生を『物』扱いしている」と憤慨していました。
このアメフト問題と直接関係はありませんが、現役の学生達から「何人かの教員がパワーポイントで講義をしている」と言うクレームが寄せられています。但し、自分で確かめたわけではないので、その真偽の程は分かりません。しかしもし本当に講義をパワーポイントでしているとしたら、これは最悪ですね。講義の目的として、知識の伝達はほんの一部でしかなく、むしろ知識の源を理解するための一助になる事が最も重要なものです。パワーポイントでは、まるで映像を見ているようで恐らくは学生の頭にはほとんど何も残らないでしょうね。これは昔、ある教員が講義ノートをそのまま黒板にびっしり書き写して授業を行っていたと言う問題と同じですね。しかしながら、講義をする側からすると準備は少なくてすみ、非常に楽である事は間違いありません。しかし、どうしてこの様なことが起こり得るのでしょうか?その理由としては「学生がその講義を理解してくれているかどうか」と言う問いかけが教員サイドにはない事が最も大きな原因だと考えられます。恐らくこの教員達は自分の講義内容を解説することに手一杯で、学生がそれを理解できているかどうかに関しては余り関心はないと言うことと関係していると思われます。この場合、これは明らかに学生不在であり、この点ではアメフト問題と同じですね。この状況を変えることは現在の状況を見る限り、恐らく不可能なことと思われます。むしろこれ以上、悪化しないことを願うばかりです。当該学科からシャットアウトされてしまった身ですが、それでも学生の事を考えるとやりきれない気持ちがなくなることはありません。
今後、日大はどうなって行くのか予断を許さない状況が続く気がしています。昔は学生を常に大切にする大学であったと思いますが、現在はそれとかけ離れた状態になっているように見受けられます。しかし同時に周りが何かを言っても何もかわらない可能性が高いようにも思われますが、どうしてこうなってしまったのでしょうか・・・・。
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