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[ ディミトロフのスライス]

卒業生の皆様へ　:　大坂選手の弱点(6)　 (２０２４年９月)　

今年の全米オープンテニスでは６名の日本人選手が本戦に出場しました。その内、女子選手３名(内島選手、柴原選手、大坂選手)が２回戦に進出しましたが、残念ながら３名とも２回戦で敗退しました。
試合を見る限り、内島選手はその身体能力はかなり優れていると感じましたが、やはりフォアハンドのストロークがコンパクトに打ててはいません。特に、ラケットの引き方に無駄がありすぎるように思われます。従ってこの点を改善して、腰の回転を利用したコンパクト打法のフォアハンドをマスターしない限り、高いレベルで勝ち進むことは難しいように見受けられます [ テニスの上達法] 参照。
柴原選手は総合的に優れている選手ですね。これからまだ伸びて来る可能性があると感じています。この場合、トップレベルの選手と伍して戦うためには、何か特別な長所(人よりも一段と優れているショットか精密なコントロールなど)を見つけて、それを武器にする事ができるかどうかがポイントになるであろうと考えています。彼女の場合、前に出てボレーで決める流れをうまく作る独自の方法を見つけ出す事でしょうか。
大坂選手は技術的な進歩があまり見られませんでしたが、フットワークは改善されたように思われます。前々からここで色々書いていますので、これ以上はコメントしませんが、しかし彼女の技術上の基礎的な問題点はすでに３年前からわかっていた事ですね。いずれにしても、外野席から見ているだけなので詳しい事はわかりませんが、現在の大坂選手のレベルはその３年前の状態には戻っているように思われます。しかし、４大大会で優勝したレベル(特に２０１９年全豪オープン初優勝時のレベル)からは程遠く、そのレベルに戻るためには、この選手の特徴である『誰にも負けない身体能力』を生かすような、そう言う『積み重なる基礎練習』を実行する必要があると思います。しかしこれができるかどうかは本人がどの『選択肢(コーチ陣や練習方法)』を取るかの問題であり、これは明らかに外部からコメントできる問題ではないですね。
昔(４０年程前)、テニスの草大会において、身長 190 cm で強烈なサーブを持っている選手がシングルスの試合をしていて、それを観戦した事がありました。彼はバックハンドはスライスできちんと返すタイプで粘りのテニスを続ける選手でした。しかしフォアハンドもスライスでしか打てなくて、この点が彼の欠点となっていました。それで『この選手がフォアハンドを強く打てたらきっとシングルスではなかなか負けないでしょうね』と言うコメントをした時、隣りにいた熟練のテニスプレーヤー(当時、国体選手)が『人間はトータルだから無理だね』と言われました。そして実際、この選手がフォアハンドを強く打つことはその後もできませんでした。これは『人間はトータルとして力を発揮するので、その欠点がほんの些細な事だとしても影響が無視できない場合が良くあるものである。試合結果は全体の総合バランス(メンタルな部分も含めて)として出て来るので、その人のトータルの戦いでもある』と言う事であろうと思われます。そして顕著な欠点がある場合、その欠点を直すためには膨大な努力が必要で、その努力により欠点を克服できた時に初めて『トータルとして成長した人間』となり、全体としてより高いレベルの力を発揮できるのであろうと考えています。
この事は物理学の理論研究の世界にも当てはまる事だと思います。人間はトータルだから『記憶力が並外れて優れていても、計算力が乏しい場合、その研究者に重要且つオリジナルな仕事は出来ない』と思われます。さらに『計算技術が極めて高いレベルにあったとしても、物理センスが乏しい研究者が成功する例は稀である』と言う事も事実だと思います。しかしながらこの場合、すべてに恵まれている研究者は世の中に存在していません。それでは、研究で良い仕事をするにはどうしたら良いのでしょうか？一つには『優れた指導者または実力ある仲間と一緒に共同研究する』と言う事が最も現実的で重要な選択肢になっていると思っています。しかしながら、実際問題として自分の経験から見る限りにおいては『良い仕事ができるかどうかは「運」に強く依ってしまう』と言う事も確かな事だと思っています。尤も、優れた指導者を見つけ出す事や実力ある共同研究者と遭遇する事もそう簡単な事ではないので、これもやはり「運」によると言えなくもない問題ですね。

卒業生の皆様へ　:　大坂選手の弱点(5)　 (２０２４年７月)　

今年の Wimbledon では６名の日本人選手が本戦に出場しましたが、２回戦に進出できたのは大坂選手と西岡選手の二人でした。その大坂選手は１回戦では相手のミスに救われて何とか勝てたと言う状況でした。そして２回戦ではミスを連発して、Navarro 選手に完敗してしまいました。
今回の試合を見る限り、やはり凡ミスが多すぎますね。これは明らかに『基礎練習の不足』と考えられます。芝のコートでは余程、ボールをうまく引き付けて打つ技術を習得していない限り、安定したストロークを打つことは難しいものと思われます。全仏オープンの時も『積み重なる基礎練習』が重要であると感じていましたが、ともかくこの基礎練習をしっかり行うこと以外に、高いレベルの試合に勝つ方法はないものと思います。大坂選手はほとんど信じられないほどの身体能力の持ち主なので、対戦相手によってはそこそこのレベルで勝てるとは思います。しかしながら今の状態では、技術力のあるトップレベルの選手に勝ち切る事は余程、運が良くない限り難しいように思われます。実際、素人レベル(県大会やジュニアレベル)での試合においても、技術力ではそれ程、高いレベルではなくても、身体能力が非常に優れている事によりトーナメントを勝ち進む事ができる選手は決して少なくはありません。しかしながら、この優れた身体能力を持つ選手の場合、技術力が高く一定以上の身体能力を持つ対戦相手には全く勝てないものです。
一般論としてですが、技術の進歩に関してはテニスのレベルが高くなればなるほど、常に新しい技術を学び続ける事がどうしても必要となっています。その意味では、今回のような芝でのテニスではバックハンドのスライスを自分のものにする事が極めて重要な事であると考えています。芝では強いスライスボールはかなり滑ってくると言われています。この場合、自分が滑るボールを打てていれば、逆に滑るボールに対する対処法、すなわち『滑るボールをブロックすることにより返球する』手法もある程度、可能になるものと考えています。[ テニスの上達法] 参照。
いずれにしても、大坂選手がトップ１０に本当に復帰したいのであれば『積み重なる基礎練習』を強制的に行う事ができるコーチを招聘する事がベストであろうと思われます。それは、これまでの大坂選手の言動で判断する限り、『自分で考えて自分で率先して基礎練習を積み重ねて行く』ことができるタイプではないように見受けられるからですね。しかしながら、これこそは本人の問題であり、自分で考えて解決する以外、方法はありません。従って後は、大坂選手が何らかの形で技術力の向上に興味を持ち、自分自身を成長させる方向を見いだすことが出来るかどうかと言う問題となっています。そして、うまく方向が見つかれば、次のレベルへの進化が期待できるものと思っています。
余談ですが、理論物理学の研究においてトップレベルの新しい研究を持続して行うためには『基礎物理学の演習問題を解く』と言う作業がさらに重要となっています。例えば、電磁気学の演習問題を解き直してみるとかゲージ不変性について再検証すると言うような基本的な作業を普段から行っていない限り、高いレベルの研究を続けることは、まず不可能となっています。実際問題として、しばらく前に提案した『試験問題』を自分で解けない研究者が新しい研究を遂行できるはずがありません。理論物理学の新しい研究は常に基礎物理学を土台として、その上に成り立っているからですね。

卒業生の皆様へ　:　大坂選手の弱点(4)　 (２０２４年６月)　

今年の全仏オープンでは大坂選手が２回戦で、現在、世界 NO.1 のシフォンティックと接戦を演じました。惜しくも負けはしましたが、試合そのものは今季一番の良い試合でした。いつも言う通り、負けは負けである事は確かですが、今回に限って言えば、やはり大坂選手に少しだけ運がなかったと言う事でしょうか？ストロークもサービスもかなり良い状態になっていたと見受けられました。
しかし１回戦のブロンツェッティ戦ではフォアハンドの凡ミスが割合多く見られました。それは基本的にはスピンが十分ではない事と関係しています。これを改良する最も簡単な方法はラケットの始動位置をラケットヘッド１個分ほど下げる事ですね。その場合、ラケットの握りを少しだけ厚めにする必要はあります。そうすれば自然により多くの回転が掛かり、単純なアウトボールを少しでも減らすことができるかと思います。また、ブロンツェッティ戦において、大坂選手にはかなりのアップダウンが激しくありましたね。単純なミスが続く場合があると言う事です。実際、シフォンティック戦でも第２試合は完璧に近い試合内容でした。尤も、これは試合を重ねて行けばいずれ解消されるものと思っています。
それにしても、こうした好不調の波を最小にするにはどうしたら良いのでしょうか？これにはやはりテニスの理論をきちんと理解して、さらに基礎練習をしっかりと積み重ねて行くことしか方法はないものと考えています。実際、大坂選手の試合を見る限り、彼女に取って必要な事は『テニスの戦術』ではなくて、やはり『積み重なる基礎練習』ですね。さらに言えば、これに加えて昔、Steffi Graf が打っていた強烈なバックハンドのスライスを混ぜて使えるようになれば、より安定した試合運びができるものと思われます。いずれにしても、基本的には反復練習をしっかり続けて行けば、この才能から見てまたトップに復帰する事も不可能ではない気がしています。
大坂選手以外に２回戦に進出した日本人選手は錦織選手と内島選手でした。錦織選手には鋭い切れ味が戻って来たように見受けられました。しかし故障ばかりでは何か普段の生活に問題があるのでしょうか？これは毎日の体のケアの問題に関係しているものと推察していますが、恐らくそれは毎日の食事と基礎トレーニングであろうと思います。しかしながら、最も重要なファクターが食事である事は確かでしょうね。ケガを避けるような食事療法が重要である事はよく言われているようですが、これはしかし自分の専門からは程遠いのでよくわかりません。
錦織選手と似た感じの選手に望月選手がいますね。彼もテニスのセンスが抜群に良い選手で、どのショットも優れています。しかし決定的にこれは切り札になると言うものが見当たりませんでした。錦織選手が強かった頃は、彼のバックハンドは天下一品であると言う評判でした。実際、錦織選手のバックハンドは切れ味抜群のショットでしたね。その意味で、望月選手がトップレベルと対等以上に試合をするためには、何か決定的に他人よりも優れている切り札ショットを身に着ける必要があるかと思いますが、どうでしょうか。
それと、望月選手の手首の使い方にはまだ改良の余地はあると思います。とは言っても、手首の強化には注意が必要です。それは下手をすると手首を痛めてしまうからですね。それでも『手首をうまく使う事が何故、重要か』と言う事を力学的に理解して置く必要があります。ラケットを振る時、腰の回転で振ればラケット軌道は安定しますが、それに手首の回転を加えるとラケットヘッドは急速に回転します。これは実験して見れば明らかですね。このためラケットヘッドのスピードはかなり増すことになっています。[詳細はテニス技術の解説『テニスの上達法』(pdf) を参照]。
内島選手は２回戦でサバレンカに負けましたが、しかし今後の成長と活躍を予感させるものでした。尤も、プレー自体は全体としてまだ雑で、今後さらにうまくなるものと期待できる選手です。しかしながら、フォアハンドもバックハンドも共にもっとコンパクトに打たない限り、トップレベルには通用しないと感じました。特にフォアハンドにおいてはラケットの引きが大き過ぎて、これでは相手にコースを読まれる可能性があるし、また打った後の戻りがほんの少しだけ遅くなっていると思われます。しかしこれらの修正はそれ程、深刻に難しいものではないので基礎練習を積み重ねて行ければ必ず、もっと強くなります。そして、いずれトップレベルにも勝てるようになるものと確信(期待)しています。

卒業生の皆様へ　:　大坂選手の弱点(3)　 (２０２４年４月)　

４月１２日に行われた女子の国別対抗戦では、大坂選手が日本でプレーしました。この試合、大坂選手はそのサーブがやはり強力でプチンセワ選手に２－０で快勝しました。しかしながらストローク戦では拮抗していました。ボールの速さは明らかに大坂選手の方が上でしたが、プチンセワ選手の技術は相当、レベルが高いと感じました。
この試合をじっくり見る事が出来ましたが、大坂選手が今後、より強くなるためのポイントは割合、はっきりしていると思いました。前の稿でディフェンス力の強化が必要であると書きましたが、今の段階ではそれ以前の問題だと思います。それはストロークを打つ時の『瞬間の溜』が不足していると言う事です。これは勿論、非常に高度な技術ですが、これがまだ十分とは言えません。そのため、結構、単純なミスが目立ちましたし、また相手に打球の方向を読まれている場合がよく見られていました。この『瞬間の溜』を作る事を習得する唯一の方法は『反復練習』ですね。こうした単純作業はレベルが高くなればなるほど、必要不可欠な練習となっています。これは勿論、理論物理の研究者でも同じですね。トップレベルの研究を続けて行くためには、常に簡単な理論模型の検証や単純計算などの反復作業を続けることが必須です。それを怠ると、知識だけの『幽霊学者』となってしまいます。
勿論、大坂選手は相当、ハードな練習を積み重ねていると思います。しかしプロならば、そうしたハードな練習をこなすことは当たり前の事で、誰でも実行しています。それに加えて、この『瞬間の溜』を作る反復練習を積み重ねて行けば、単純なミスは多少とも改善されるものと思っています。今後の活躍に期待したいものですね。

卒業生の皆様へ　:　大坂選手の弱点(2)　 (２０２４年２月)　[付記(ディミトロフのスライス)]

この全豪オープンは大坂選手が母になって戻ってきた初めての４大大会でしたが、やはり初戦で敗退しました。これは残念な事でしたが、しかし今後に期待したいと思います。但し、大坂選手に昔のような強さが戻るかどうかはあまり楽観はできないと思います。それは、今回の試合を見る限りにおいては、ディフェンス力の強化ができていないからですね。そしてこの事は２年近くのブランクとは無関係な気がしていますが、どうでしょうか。彼女が本当に強くなり、負けないテニスをするためには、やはり Sascha Bajin コーチに再びつくことが一番の近道なように思われます。それはこのコーチがテニスの基礎的な理論をしっかり理解している非常に稀な存在となっているからですね。そして恐らく Bajin コーチならば、大坂選手(桁外れな身体能力の持ち主！)にディフェンシブなゲームメーキングの手法(これ以外に安定して試合に勝つことはない！)を教える事ができるのではないかと思っています。尤もこれは現実的な話ではないし、どうでも良い事ですね。

☆☆ 　ディミトロフのスライス　☆☆ 　

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[付記１]：ディミトロフのスライス　　[２０２４年３月末]

　マイアミオープンでの準決勝でディミトロフ選手がズべレフ選手を破りましたね。この試合、両者ともにサーブもよく、またストローク戦でも白熱した試合が続きました。結果はほんのちょっとの差でディミトロフ選手が勝ちましたが、どちらが勝っても不思議ではない非常に良い試合だったと思います。その中で、やはりディミトロフ選手のバックハンドのスライスが光りましたね。これがディフェンス力を上げている一つの原因かと思われます。しかもディミトロフ選手のスライスは回転量が非常に多くて、返球するだけでもかなり大変なレベルであろうと思っています。勿論、プロではこのレベルの回転量は普通であると思いますが、これでベースライン付近に返球されたら、それをチャンスボールとして打つことはほぼ不可能であろうと思われます。彼の片手バックも安定しているし、ボールの質が高いですね。いずれにしても、この強いスピンを掛けたスライスの習得がディフェンス力強化の一つの方向であろうと思っています。

卒業生の皆様へ　:　大坂選手の弱点 (２０２１年９月)

全米オープンで大坂選手は３回戦で負けてしまいました。この試合では大坂選手に運がなかったとしか言いようもない試合でした。彼女の身体能力は女子選手の中でも、依然として飛び抜けています。サーブも強力だし、フォアもバックも決して悪い状態ではありませんでした。負けたのは残念でしたが、そう言う日もあると言う事です。特に相手が１８歳の選手で完全に上り調子の状態で試合をしていました。若手の場合、うまく行く時は全てうまく行く事があるものです。かと言って、この選手が次回、同じレベルのテニスができるかと言ったら、恐らくは無理であろうと考えられます。
しかしそれにもかかわらず大坂選手に取って、その弱点が何処にあるのかを見極める事は重要な事ですね。これはしかし試合を見てみればほとんど明らかな事です。それは彼女が『テニスの理論』がしっかりとは理解できていないからです。例えば、何回か続けて自分が打ったフォアがほんの少しアウトになったりサイドを割ったりしていました。この場合、本人がその理由を理解していればそこで激高する事はありません。彼女は何故、ほんの少しでもアウトになったのかわかっていないからです。これはどうしても力学的に考える必要があります。しかしテニスの選手とそのコーチは基本的にはテニス技術に関して『自分の経験』でしかわかっていません。勿論、その経験は正しい場合が大半です。しかし何故、それが正しいのかを理論的に理解できていれば、大坂選手の重要な場面でのミスは半減するはずです。これは勿論、大半はメンタルな部分と関係しているからですね。
しかしながら、物理屋が解説してもなかなか興味を示さないものとは思います。かって、自分は千葉で非常に強いテニスクラブに属していた事があります。ウィークデイ会員だけのクラブだったため、大半が女性でした。しかし千葉のほとんどトップレベルの選手が集まっていました。そこで色々とコメントすると『先生と言っても物理の先生ですから・・・』と陰で言われていて、テニス技術のコメントは信用できないとされていたようです。彼女達は基本的には『経験と結果』重視ですね。しかし一部の選手達(インターハイ連覇、インカレ経験者やジュニア時代トップレベル)は自分のコメントをしっかり理解しようとして、それを多少なりとも役立てていたものと思っています。
テニスの基本は『相手のコートに返している限り負けない』と言う事です。大坂選手にはその意味で、力学的な観点でのテニス技術論を少しでも理解して頂きたいものです。尤もテニス技術の理論的な解説『テニスの上達法』(pdf) は英語版の訳はないので、大坂選手が例え興味を持ってくれたとしても読めないかも知れませんね。それとテニスだけではありませんが、実際はその技術の向上そのものが最も楽しいものです。確かに、勝ち負けもプロテニスプレーヤーに取っては重要かもしれませんが、しかし人の生活で本当に充実する事は、何か『ほんの少しでも進歩する』と言う事につきますね。但し、これはレベルが高くなればなるほど、その進歩は『無限小』に近くなります。

錦織選手の改善点　:　インディアンウェルズの試合を見て　(１０月)

インディアンウェルズ大会での錦織選手の２回戦の試合を見ましたが、残念ながら負けてしまいましたね。この試合を見る限り、錦織選手のテニスの状態はそれ程、悪いとは思われませんでした。ただ、昔の切れ味はなくて、割合、淡々と試合をしていたように見受けられます。今後、錦織選手が昔の強さを取り戻すためには、どうしたら一番良いのでしょうか？これは学問でも他のどの専門分野でも同じことですが、常に『新しく進歩する』と言う事ですね。これがトップレベルを維持して行く唯一の方法だと考えられます。
錦織選手の場合、ライジングで打つボールの精度がまだ完璧な状態とは言えないレベルです。一度、素晴らしいライジングボールを打った時がありましたが、この場合、ライジングでも体重がボールに乗っていました。これをさらに増やして、またその精度を上げて行く事が大切であろうと思います。それとサーブですね。今のコントロールの倍以上の精度が必要です。昔、サンプラス選手のサーブでは、そのスピードよりもクイック気味に打つコントロールが抜群に良いものでした。錦織選手のセンスからしたら、このレベルまでサーブの精度を上げる事が恐らくは可能であろうと思っています。ボールのスピードは今のレベルで良いかと思いますが、フォームの速さ(クイック)とコントロールを磨いて行く事が重要かと思われます。

若手共同研究者の２人が相対性理論に関連した動画を作成し始めたようです。現在、ネット上で見られる相対論関連の解説や動画は、その大半が間違いだらけとなっています。特に、比較的視聴者が多い動画ではその間違いがひどすぎて、これは何とかしないといけないと感じています。若者が相対論に対してほとんど空想的なイメージを持ってしまう事を非常に恐れています。尤も、その間違った動画を上げている人達もまだ若者のようなので、これは彼ら動画の作成者が依拠している解説書が問題を起こしていると言う事ですね。その意味ではこれまで電磁気学や相対性理論の解説書を書いてきた古手の責任はまさに重大なものとなっています (『名著解説の間違いとその原因』を参照)。

卒業生の皆様へ　:　フォアのストロークの精度 (２０２１年５月)

フォアのストロークに関して、試合中に如何に高い精度のコントロールでボールを打ち返せるかと言う点が試合の勝ち負けに直接的で最も重要な影響を与えていると考えられます。それではどうしたらコントロール精度の高いボールをうまく打つことができるのでしょうか？
野球の投手の場合、コントロールは非常に重要ですが、これはある程度以上は才能に依ってしまうと言われているようです。しかし、テニスのフォアのストロークの場合、ラケットと言う道具を使うため、ある程度は打ち方によってコントロールの精度を上げる事は可能であると考えています。『テニスの上達法』(pdf) で解説しているように、ラケット軌道を安定させるには腰の回転で打つことが最も重要な要素となっています。それではフォアのストロークのコントロールは何処で制御されるのでしょうか？
これは打ち方に強く依存しています。実はフォアのストロークにはボールを叩く操作とボールを運ぶ操作の二通りの操作が混在しています。コントロールの精度が悪い打ち方の場合は、基本的に叩く操作が主になっていると考えられます。上手く叩けば強いスピンが掛かって、相手にとっては打ちにくいボールとなります。しかし叩いた瞬間のボールの方向はなかなか一定しないため、ボールの方向にバラつきが出てしまいます。一方、運ぶ作業が主な打ち方の場合、運動量の保存から確かに、方向は一定となりバラつきは減少します。しかしその分、強く叩く事はなかなか難しくてさらに、スピンの掛かり方が充分ではない可能性があります。このように、叩く操作と運ぶ操作のバランスこそが正確なコントロールには重要であると同時に、非常に難しい問題となっています。この問題を解決出来るかどうかに関しては、ある程度は練習量と身体能力に依ってしまうと考えています。また、年齢が上がった場合、どうしても強く叩いてさらに高精度のコントロールでボールを打つ事は難しくなってきます。このため、例えば自分の場合はコントロール重視の打ち方を選んでいます。従ってこれは当然、運ぶ操作が主になっていることに対応しています。しかし打つ時に余裕がある場合、運ぶ打ち方でも最終的に手首をうまく使って叩く操作を付け加える事が可能となる事があります。この場合は、確かにコントロールも良くさらにうまくスピンが掛かったフォアを打つことができています。しかし、これは身体能力がかなり劣っているような自分には、うまくタイミングが合った時のみ、可能となっています。
ところで、最近の錦織選手のフォアのコントロールは以前と比べて格段に落ちています。これは彼が叩く操作を優先しているからであろうと推測しています。昔のベストの状態の錦織選手の場合、基本の練習量も多かったものと思われます。このため、叩く操作が主な打ち方でも比較的コントロールの精度の高いボールが打てていたものと考えられます。しかしこの半年ほどの錦織選手のフォアに関しては基本練習不足が顕著でした。今後、どうなるかわかりませんが、彼の場合、年齢に合った打ち方とさらに練習法に関してもしっかり考える必要があるように見受けられます。これはしかし本人の問題だし、それに理論物理屋の話ではなかなか受け入れられないものと思われます。

卒業生の皆様へ　:　サーブトスの上げ方 (２０２１年４月)

サーブトスにおいて安定してボールを上げるにはどうしたら良いかと言う問題でコメントをしておきます。恐らくは大半のテニスプレーヤーは上げ方に狂いはないものと思います。しかし一方で、うまく上げられないプレーヤーもいる可能性がありますので、簡単に書いて置きます。
実は一番大切なポイントはテニスボールをどう握るかと言う事です。それはボールを親指と人差し指・中指(これは二つくっ付ける)でボールを軽く挟むように握ります。そして薬指(多分小指も一緒)をちょっとだけ曲げてボールを下から支えるようにします。そしてボールを上にトスして上げればかなり真っ直ぐに上に上がります。ここで一番重要な点は薬指の感覚となります。どのくらいの感じで上げればどのくらい高く上がるかは薬指が一番敏感に覚えているものと思われます。これを練習すればいずれ良いトスが上げられるものと確信出来るものです。

卒業生の皆様へ　:　「ナオミ時代到来か？」 (２０２１年２月)

今年の全豪オープンでは大坂選手と日比野選手のみがシングルス２回戦に勝ち進むことが出来ました。あとの日本人選手は全員がシングルス１回戦で姿を消してしまいました。残念な事ですが、しかしやはり力不足が原因であったものと思われます。
その中でやはり大坂選手が際立って強く、至極当たり前のように優勝してしまいましたね。技術的に言っても、昨年の全豪オープンのレベルとは別人のようにテニスが「うまく」なっていて吃驚でした。フォアの回転量も格段に上がっていますし、またバックハンドも少し回転量が増えています。さらに驚くべきことはソフトなボールタッチが出来ていた事です。従って今後、ドロップショットもうまくなるのではないかと思われます。
現在、大坂選手の課題となっているのはサーブのトスとその高さですね。トスの上げ方が意外と雑に見受けられますが、その原因は良くわかりません。それとトスの高さですが、あと１m 前後、低くする必要があります。今のままだと、どうしてもコントロールにバラつきが残ります。ボールの落下速度をできるだけ抑えると言う事ですね。ちなみに、非常に荒っぽい計算で評価してみると、ボールを最高地点から１m (0.5 m) 落下したとして、そのボールを１５０㎞/h で強打した場合、サービスラインにおけるズレは大雑把に言って 0.5 m (0.25 m) 程度です。すなわち、最高地点でボールを強打した場合と比べて、約５０㎝ (２５㎝) 程近い所に落下すると言う事ですね。これを気にするかどうかと言う問題ですが、現実にはこれはそこそこ大きな数値であるように見受けられます。勿論、本人は練習で感覚的にこの修正はできているわけですが、コントロールを重視した場合、やはりできるだけ最高地点に近い所で強打するのが良いかと思われます。

☆☆　　「錦織選手のフォアハンド」　　：　２０２１年２月　
錦織選手の１回戦の試合を少し見ましたが、正直言って数年前の状態からは想像できないくらい、フォアのストロークが不調でした。しかし、試合後の会見で彼自身は「それ程悪くはなかった思う」と言うコメントをされていたようで、これにはさらに驚きました。確かにバックハンドはまずまずであったとは思います。特に、押し込まれたり、かなり難しいと思われるボールに対する瞬間的な反応は決して悪くはなかったように見受けられました。しかしながら、フォアに関しては結構、手打ちで打ってしまうボールが見られていました。また、フォアで打った後、ヘッドアップしてしまう場合が何回か見られていましたが、このような錦織選手のフォアを見た記憶は、これまでほとんどに無かったように思われます。
基本的に錦織選手の強さはその守備力にあったと思っています。読みが鋭くて、またライジングでも強いボールがしっかり打てていました。今回の錦織選手のフォアハンドストロークを見る限り、昨年１０月からほとんど改善されてはいませんでした。恐らく、基礎的なトレーニングの方向が少しずれているものと考えられます。
テニスが上手であると言う印象を他者に与える事が目的であったら、それは確かに攻撃的なテニスをするのがベストです。しかし勝つテニスをしたい場合、これはどうしても守備的なテニスをする必要があり、それ以外あり得ない事です。但し守備的といっても、勿論、ベースラインの後ろには下がらないで守備をする必要はあります。攻めのテニスと言う言い方をされることがよくありますが、これはあくまでも自分の守備ができないような形の攻撃をされないため、攻めるテニスが必要であると言う意味合いとして理解されるべきものです。
これから錦織選手が勝ち進むためにはサーブの強化が求められるものと思われます。彼のサーブは以前と比べるとかなり良くなっていると思います。あとは恐らくは手首の強化をして、ボールを叩くインパクトの瞬間での手首の使い方をもう少し工夫する必要があると思います。錦織選手のサーブにおいては、うまく手首を使ってインパクトの瞬間にラケットのエネルギーをボールにしっかり伝達できれば今より必ず、スピードが上がると考えられます。このため、同じサーブスピードの場合、コントロールがより良くなるものと思っています。しかしこれは感覚的に自分で矯正して行く以外に方法はないものですね。

卒業生の皆様へ　:　全仏オープンでの日本人選手 (２０２０年１０月)

今年の全仏オープンは日本人選手全員がシングルス２回戦までで姿を消しました。それぞれに接戦となっている場合が多くて、勝ちきる事の難しさが良くわかる試合展開となっていました。勝ちきるためにはどうしたら良いのかと言う問題は、勿論、単純ではありません。恐らく重要な点としては、ゲームポイントにおける「集中力」と「冷静な戦術選択」であろうと考えています。

☆☆　　「錦織選手のテニス基礎技術」　　：　２０２０年１０月　
錦織選手の場合、怪我からの復帰と言う事で特別な意味合いを持っていました。全仏オープンの前哨戦を見る限りにおいて、確かに試合から遠ざかっていた事により試合勘が戻っていないと言う問題も起こっていました。しかしそれ以上に、私が感じたことは基礎的な技術の訓練不足でした。スポーツにおいても学問においても、そのレベルが高くなればなるほど、基礎的な技術の訓練がより重要になっています。その意味では、錦織選手の基礎的なトレーニングが明らかに不足していました。例えばフォアのストロークを見た時、これでは勝てないとすぐに感じたほどです。新しいコーチの下でボレーを使った戦略を磨いていると報道されていましたが、恐らくはそれ以前の問題であろうと思われます。フォアもバックもサーブも余程、基礎的な練習を繰り返し行わないと、高いレベルをキープする事は不可能な事です。この点が欠けている限り、いくら才能が豊かでも、なかなか勝てないであろうと推察されます。テニスの理論において、詳細な部分を正確に理解する事は非常に難しいものです。しかし、それをしっかりと理解していないと重要なところでの修正が簡単ではありません ( 「テニスの上達法」を参照)。一方において理論に頼らない場合、基礎的な練習を自分が納得するまで行う事が重要な課題となります。例えば、1m 四方のコントロールを 0.8 m 四方のコントロールに持って行くにはどれだけ練習すればよいかと言う問題です。これは各個人によって勿論、異なりますので各自が自分で考えて練習するしか方法はありません。
しかし錦織選手は誰もかなわないくらいの優れたコートセンスを持っています。従って、基礎的な技術の訓練をしっかりこなして行けば、恐らく全豪オープンまでには回復されるものと期待しています。

☆☆　　「日比野選手の成長」　　：　２０２０年１０月　
日比野選手がうまくなりましたね。サーブもかなり良くなっているし、ストロークも相当に改善されていると感じました。特に腰の回転がしっかりできているストロークが打てているのには驚きました。あとはどうしたら、さらに正確なコントロールショットができるかでしょうね。サーブもかなり改善されていると感じましたが、今後、ラケットの握りを変えたサーブをどう取り入れて行くかでしょうか。サービスキープが常に要求されるレベルでは、やはりサービスのフリーポイントをどう増やせるかが大きな課題ですね。このためにはバウンドした後の跳ね方に変化をもたらすことが重要なポイントになっています。相手が嫌がるサーブを如何にうまく自分のものにして行くかでしょうね。このためには手首の強化が重要になるものと思われます。

卒業生の皆様へ　:　大坂なおみ選手の全米オープン優勝 (２０２０年９月)

☆☆　　「フォアハンドのスピン回転量」　　：　２０２０年９月　
今年の全米オープンは大坂選手が優勝しましたが、本当に凄いものですね。今回、彼女のプレーを見る限り、全豪オープンの時と比べて、確かにフォアのスピン回転量が少し上がりました。まだ到底、充分とは言えませんが前回よりも格段に良くなっています。バックハンドも少し安定性が出ていたように見受けられます。しかしながら、彼女が強くなった一番の理由は、フットワークの改善ですね。非常に優れたトレーナーが付いたようで、これは確かに大きな財産になるものと思われます。
☆☆　サーブの改善　：　大坂選手のサーブが男子並みに非常に速い事は昔から良く知られていました。今回は、これまでと比べて明らかにスピン回転量が上がっていました。特に、セカンドサーブでのはね方は男子並みの場合が何回かありました。このはねるサーブはいずれは重要な武器になって行くように思われます。あとはバックハンドのスライスをどのように試合の中で使って行くかと言う事でしょうか。いずれシュテフィ・グラフのような強さを見せてくれる可能性を感じました。シュテフィ・グラフは彼女の型にはまったら誰もそれを打ち崩す事が出来ないものでした。いつか大坂なおみ選手もその「型」が完成されることを期待したいものですね。それがどのようなものになるかはまだわかりませんが。

☆☆　土居選手　：　土居選手のプレーはかなり良かったと思います。大坂選手に負けはしましたが、内容的にもまずまずのレベルになっていると思われます。一つ気になっているのはサーブのトスの高さですね。明らかに高すぎますので、あと３０ー５０ｃｍ程度は低くする必要があります。それから、いつも同じパターンでは打たないで、やはりクイックサーブなどを取り入れる必要があるものと思われます。試合の組み立て方は決して悪くはないし、サーブのキープ率を上げれば、もう少ししっかり勝てる気がしています。ただ、まだライジングで打つボールの精度は改善の余地があると思います。

卒業生の皆様へ　:　全豪オープンの日本人選手 (２０２０年１月末)

☆☆　　「才能と努力」　　：　２０２０年１月末　
今年の全豪オープンテニスでは日本人選手がまずまずの活躍をしたものと思います。２回戦に進出した選手が５名もいたことは確かにレベルの高さを示していますね。また３回戦に進出した西岡選手は確かに成長が著しいと感じています。今後が楽しみですね。
☆☆　土居選手　：　土居選手の場合は１回戦で負けてしまいましたが、しかしこれは試合運がなかったとも言えます。その日の運が良ければ勝てると言う事ですが、実際、テニスの試合ではほんのちょっとした差で勝負が決まっています。フェデラーが７本のマッチポイントをしのいで勝った事などは典型的な例ですね。
しかしそうは言っても、土居選手の場合はやはりもう一段、強くなって欲しいものですね。実際、それが可能だと考えていますが、そのためにはやはり、もう一歩か二歩ほど前で打てる事、つまりはライジングで打つボールの精度を上げる事であろうと思われます。
☆☆　大坂選手　：　昨年の全豪オープン優勝者である大坂選手は３回戦で敗退しました。彼女の１回戦の試合を見た時に、今年は勝ち進むのは無理だろうと即座に思いました。基礎的なストロークがかなり雑で、昨年よりもほとんど進歩はしていないように感じました。大坂選手は強力なサーブ力と並はずれた身体能力で勝っています。しかし今のレベルの技術力でコンスタントに勝つことは難しいものと思われます。
本当に強くなろうとするならば、基礎的なストローク力を今より数段レベルアップする必要があります。例えば、あの程度のスピン量で安定したストロークを打ち続ける事は容易なことではありません。その意味で、もしコーチが必要だとしたら、技術を理論的に教えてくれるコーチを選ぶべきで、戦術などを学ぶ以前の問題だと思われます。しかし一番重要なところは、自分の技術力を磨こうと言う強い意識を持って努力することです。高度な技術を習得するためには、余程しっかり考えて自分自身を鍛えて行く必要があるのは、どの世界でも同じですね。
テニスや野球などのスポーツではその人に合った正しい鍛え方をきちんと実行できれば、割合、正確に結果が伴ってきます。第０近似では、その努力の量に比例して力を付けることができると思われます。しかしながら、学問においては、それ以上の難しさがあります。その学問体系が正しいかどうかの検証がそう単純ではない事と関係しています。誤りを含む理論体系をいくら一生懸命勉強して自分を鍛えても、結局、何も残らない事になっています。現在、若手研究者にとって、物理学を学ぶ点ではその難しさの真只中にいるように思われます。その学ぶ上での基本戦略は「何が物理的な観測量であるか」と言う事をしっかり考えて努力して行く事だと思っています。

卒業生の皆様へ　:　土居選手の手首の使い方 (２０１９年９月末)

　☆　　　２０１９年９月末　　：　「手首の使い方」　
この９月に日本で WTA ツアーの試合が２戦行われたため、早速テレビ観戦しました。今回、非常に驚いたことがあり、そしてそれは実に嬉しい事でもありました。日本の土居選手がフォアのストロークでもサーブでも非常にうまく手首を使えていた事です。１９７０年代のテニス理論では手首を決して使ってはいけないと言われていました。しかしどのスポーツでも同じですが、手首をうまく使う事は本質的に重要なことです。しかしこれは同時に非常に難しい事でもあり、失敗すれば手首を痛めたり、またテニスではストロークにおけるコントロールが全く駄目になってしまう危険性がありますね。
しかしテニスで手首をうまく使ったフォアではかなり強いスピンが掛かり、二つの重要なアドバンテージがあります。その一つ目としては、強い回転が掛かるため、ベースライン付近で急速に落下するという事実です。これは経験された人も多いかと思いますが、流体力学的に証明されている事です。もう一つ重要な事があります。それは、強い回転が掛かっていると、そのボールの回転エネルギーは強烈なものとなります。テニスボールは表面にしか質量がないため、慣性モーメントが一様に分布している時よりも、２倍近く大きくなります。このため、強烈な回転を持ったボールは何の気なしに打つとその高い回転エネルギーのため、ボールを弾かれてしまうことになります。見かけよりもエネルギーが高いという点で、ある意味での「だましのテクニック」ですね。速いボールは見た目によくわかり、そのための対処をうまくする必要がありますが、これはプロの選手では大体できている事です。しかし強い回転が掛かったボールの処理は見た目以上に難しくなっているため、プロでもその対処が完全とは言えない場合が良く見受けられます。バックスピン(スライスボール)が強烈な場合、その返球がネットしてしまう現象と同じですが、強いスピンを掛けられるとその返球は少し浮いてしまう事になります。
土居選手の場合、今後はコントロールの精度をどうやって上げて行くかが課題になっていると思われますが、しかし重要な進展であることは確かなことです。強いスピンを掛けて、尚且つ左右のコントロールの精度を上げて行くことができれば、また一つ上のランクに行けるものと思われます。しかしこれは恐らくは、主に感覚の問題と考えられるため、本人の努力しかないでしょうね。しかしその方向は正しいものと思っています。
優勝したのは大坂選手でしたが、１か月前と比べると確かに少し良くなってきたように見受けられます。しかし技術的にはまだまだであることは、本人が一番良くわかっているものと思います。しかしあれだけの身体能力なので、試合にはやはり強さを発揮していて、本当に凄いものです。しかし今後、Steffi Graf のようになれるかどうかは今のところ良くわかりません。これはコーチの問題ではなく、本人の問題です。まずはどうしたらストロークとサーブのスピン量を安定して増やせるかと言う問題を自分で解決する事でしょうね。

卒業生の皆様へ　:　錦織選手と大坂選手 (２０１９年６月)

　☆　　　２０１９年６月　　：　「テニスの力学」　
テニスの全仏オープンにおける錦織選手と大坂選手のテニス・パーフォーマンスについて感想を少し述べてみようと思います。二人ともに世界のトップレベルで活躍されていることに対して本当に嬉しい限りです。これ以上、さらに上に行けるのかという問題は簡単な事ではありません。しかしテニス好きの物理屋の視点で見た場合、どういう改良点と将来の方向性があるかという事を議論することは少しは意味があるのではないかと思います。そしてこのような議論は、この二人に限らず、他のテニス選手、さらに言えば他の分野の若手に対しても、少しは参考になる点があるかも知れないと思っています。

☆　錦織選手　：　２年ほど前に錦織選手のサーブの問題点についてここで簡単に論じましたが、現在はかなり良くなっています。従ってこれ以上の技術的なコメントは難しいものと思われます。またフォアハンドもバックハンドも非常にレベルが高くてほぼ最高レベルをキープしているものと思っています。それでは錦織選手が今以上に強くなるためには、彼に取って何が必要なのでしょうか？これは難しい問題ですが、しかし力学における散乱過程の視点からすれば一つ、重要な改良点があります。
それはラケットにおける「スウィートエリア」に関する問題です。少しでも打ち損じを減らすためにはスウィートエリアの大きいラケットを使用するべきです。デカラケだと振りぬきが悪いという人もいるかもしれませんが、これは現代のラケットには当てはまりません。特に最近はデカラケでも十分軽いラケットが作れます。新しいタイプのラケットでスウィートエリアが２倍近いものが作れれば、それを使うべきです。スウィートエリアの大きなラケットを使いこなすには高い技術が必要です。そのフォームが安定している事が最低条件となります。しかし勿論、錦織選手の場合は十分の技術力があることは説明するまでもないことです。それとガットのテンションをもう少し弱いものにして、それに慣れる必要があると思います。そうすれば、同じ力で打った時にサーブにしてもフォアハンドにしてもほんの少しながらスピードが上がるものと思われます。従ってその分、今よりもさらに強いスピンを掛けることが要求されることになります。これらのことをしっかり自分のものにできれば、もう一段上のレベルに到達できるものと考えられます。

☆　大坂選手　：　昨年の全豪オープンテニスの後、大坂選手の才能の豊かさに仰天した話をここで書きましたが、彼女はそれからあっという間に世界一になってしまいました。しかしテニスの技術に関して、力学的な観点からすると、あれからそれほど進歩しているとは考えられません。スピン量はまだまだ不十分だし、フォアハンドもかなり手打ちの場合が多くみられます。それでもあの身体能力ですから、試合にはかなり強くてほとんど負けない状態が依然として維持されています。しかしながら現在の状況を見る限り、スーパーショットに頼る試合展開が基本となっているように思われます。見ていて面白いことは確かなことですが、しかし安定性に欠けていることも事実ですね。「テニスの上達法」で詳しく解説していますが、試合の勝敗は大半が身体能力の優劣で決まってしまいます。しかし世界のトップレベルともなると、身体能力に優れたプレーヤーが数多く出ています。勿論、大坂選手もそのうちの代表選手のような存在です。しかし一定以上の身体能力があると、今度は技術力の差が重要になってきます。その意味においては、大坂選手の技術力はまだまだ発展途上です。今後、高い技術を習得できるかどうかはまだ、わかりません。それは高い技術をつける事と身体能力とは直接の関係はないからです。
それでは、どの点の技術を改善することが必要なのでしょうか？これは前回も指摘しましたが、まずはスピン量が平均して少なすぎる点を改善する必要があります。このためには身体能力の高さに頼らないで、腰の回転を中心としたフォアの打ち方を習得するべきであろうと思います。そうすればもう少しコントロールの良いフォアハンドが打てるものと考えられます。その場合、ラケット軌道が安定するため、手首の返しがスムーズに行うことができます。これができて初めて、強いスピンがかかったボールをコンスタントに打つことができます。
よくメンタルの部分が議論されますが、これは実際問題としては技術の改善の後に考えるべき問題ですね。メンタルに強い・弱いという事はテニスの理論をどこまでしっかり理解して、それを自分のものにしているかと言う事が最も重要な点となっています。従って、まずは技術を改良するべき根拠(理論)をしっかり理解して、その技術の習得に努力することが大切であろうと思っています。

卒業生の皆様へ　:　錦織選手のサーブ (２０１８年１２月：完)

[特別版]　☆　　　２０１８年１２月　　：　「サーブが改良された！」　
錦織選手のサーブについてコメントをしてきましたが、その目的はほぼ達成されたようなので、ここで彼のサーブに関する問題点の指摘は終了とします。ATPファイナルズやドリームマッチでのサーブを見る限り、かなり改善されています。トスを上げた後にボールを打つタイミングもかなり良くなっています。これをしっかり続けて行けば相当、コントロールのよいサーブが継続的に打てるようになると思われます。後は、メンタルな部分ですね。しかしこれはコーチに限らず、誰も教えることは出来ないと思います。テニスでメンタル面を本当に強くしたかったら、それはテニス技術に関する理論をしっかり理解することが最も重要です。しかしさらにそれに加えて、テニス以外の様々な知識と教養を身につけることもメンタルの強化には非常に重要です。そしてこのことはどの専門分野においても共通の重要事項となっています。
日本の若手テニスプレーヤーでなかなか面白い選手の一人にダニエル太郎選手がいます。彼の才能を見る限り、トップテンに入ってもおかしくないものを持っていますが、彼はその才能の半分も使っていないように見受けられます。 (そう言えば理工学部の学生の中にも「才能は豊かだがそれを使っていない」型の学生が結構、いましたね・・・。)　　例えば、太郎選手のサーブですが、今年の夏までの彼のサーブに関しては、相手にコースを読まれやすいフォームになっていました。これは彼のトスと関係しています。トスが高すぎて、ボールがかなり落ちてきた場所でボールを叩いていました。トスで上げられたボールの最高位置と太郎選手がボールを叩く位置との差が大きすぎたと言うことです。これは錦織選手のサーブの場合の差よりもさらに大きいものでした。これだと、下向きの速度ベクトルの影響が無視できないレベルで、これでは安定したサーブキープは難しいであろうと思っていました。ところが、先日、ドリームマッチで見た限りでは、この点に関しては相当に改善されているように見受けられました。従ってもしこれが本当に自分のものになって行けば、今後の彼のサーブは相当、期待できると思っています。サーブはコントロールが最も重要であることは明らかですね。
それで、太郎選手がシングルスで勝つためにはどこの部分の改善が最も重要でしょうか？それは明らかで、彼のストロークでの欠点はボールを落としすぎて打っている事です。これは本人が自覚されているかどうかわかりませんが、ボールを叩く時の打点の高さに関係しています。彼がボールを打つ時、そのバウンドしたボールの最高地点では打たないで、むしろ落とし過ぎて打っている場合が多く見られます。これは彼がこれまで主にベースライから相当下がって打つ手法を基本にして試合に臨んできた事と関係していると思われます。従って彼の場合、まずはライジング気味でしっかりボールを打つ方法を自分のものにする必要があります。そしてそれを実行しない限り新しい方向に踏み出すことは難しいと思われます。逆に、それをうまく自分のものにできれば新しい展開が開けてくる事は確実なことです。ちなみに、ボールをライジングで打っても強いスピンは十分かかります。この場合、ラケットの握りを厚くして、ラケットのテンションを弱め(４０ポンド前後)にして、ボールを『水平に非常に強く叩く』ことが必要です。そうすればボールに強烈な順回転スピンがかかり、しかし運動量は保存しているためボールは真っ直ぐ飛び、ベースラインの直前にはしっかり落下してくれると思います。力学的な解説は小ノート　「テニスの上達法」　に入れてあります。
ところで、綿貫選手と言う、ボールタッチの非常に優れた若手選手が出てきましたね。彼はまだ若いし、将来、相当強くなる可能性はあると思います。しかし彼の現在のサーブはひどすぎますね。それは彼のサーブトスの高さと関係しています。これは太郎選手が悪いサーブをしていた時よりもさらにトスが高すぎて、これではコントロールは悪いし、偶然ショットでのサービスエースを期待することになっていると思われます。しかし綿貫選手はそのテニスセンスが非常に優れているため、このサーブでもそこそこ通用してきたものと思われます。しかし世界のレベルで戦うためには、まずはクイックサーブぎみの練習をして、これを自分のものにする必要があります。そうすれば、コントロールのよいサーブがいずれ打てるようになると思います。まだ大学２年生か３年生に対応する若者のようなので、自分でテニスの理論を学び、そして納得してサーブを改善して行けば、必ず強くなります。将来が楽しみな選手の一人ですね。

[特別版]　☆　　　２０１８年８月　　：　「サーブとスマッシュ」　
錦織選手のサーブの２段引きは解消されたと言うコメントをしばらく前に書きましたが、それでサーブが改良されたかと言う問題に対して少し解説したいと思います。これまでよりも多少、良くなっている事は確かですが、しかしまだ到底、優れたサーブとは言えません。サーブを打つときはラケットを素早く引いてラケット始動の位置を常に一定にする必要があります。しかし錦織選手のサーブの場合、引き方が緩慢でありこれではコントロールが効いたサーブを打つ事は偶然ショットに頼るしかありません。どうしたら改良できるのでしょうか？
錦織選手の場合、実際は割合、簡単にできる事だと思います。それは彼のスマッシュを見て見れば直ぐにわかります。錦織選手はスマッシュでは十分、合理的に打っています。従って、スマッシュの打ち方をうまくサーブに応用すればそれで十分に良いサーブが打てると思われます。スマッシュの場合、大体がサービスライン付近から相手コートの何処に打っても良い事から、基本的には手首を主力とした打ち方で十分なスピードがでます。それとその場合、コントロールも十分良いため、大したスピードボールを打たなくても自分の有利な展開に持って行けます。
それではサーブとスマッシュの違いは何処にあるのでしょうか？これは明らかで、サーブは自分でトスを上げてそれを素早く打つ必要があります。一方、スマッシュの場合は相手が打ち上げた高いボールの下に素早く入れば、それで打つための準備が完了します。これに対して、錦織選手はサーブトスであげたボールを打つときにラケットを特別な引き方をされています。これは彼自身が長い間打ち慣れてきたものだと思われますが、恐らくは本人が意識はされていないものと考えられます。しかし残念ながら現実問題としては今のサーブでトップ選手に通用するサーブとは言えないように感じています。力学的に言っても、ラケットの始点を出来る限り一定にする事はサーブのみならず、勿論、ストロークでも非常に重要である事は明らかですね。
サーブのコントロールに関しては、もう一つ重要な事があります。それはボールをあげた場合、それがなるべく止まった状態のボールを打つことです。これは明らかですね。ボールに下向きの速度ベクトルがある場合、そのボールを強く叩いても、当然下向きの速度ベクトルの影響は残っています。これは大した量ではありませんが、しかし１８ m 先に高精度でボールを打ち込みたい場合、当然、考慮されるべき量です。毎日練習しているプロのテニスプレーヤーに取っては、この速度を考慮する事には慣れているとは思います。しかし可能であれば、ボールが出来るだけ止まった状態で打つことをマスターした方が、力学的には合理性があると言う事です。

卒業生の皆様へ　:　大坂なおみ選手のフォアハンド

[特別版]　☆　　　２０１８年１月　　：　「手打ち」　
全豪オープンを見ているとどうしても日本人選手を応援したくなります。特に、大坂なおみ選手の身体能力には驚きと言うよりも、むしろ呆れてしまうほどです。確かに、日本人でこれ程に身体能力が優れたテニスプレーヤーは見たことがないものです。例えば、伊達選手のプレーを見ると確かに身体能力が優れていることは事実ですが、しかし彼女の場合、それ以上に「テニスの力学」を本能的に理解している点でその強さを感じます。彼女が物理学を理解しているかどうかは分かりませんが、しかし力学的に非常に理にかなった打ち方をマスターしています。
それと比べると大坂なおみ選手のフォアは明らかに基本が手打ちとなっています。時には、非常に合理的に打っている場合もあり、まだ発展途上の選手であることが分かります。一般的に、バックハンドと比べるとフォアハンドには自由度が多すぎて、色々な打ち方が可能となっています。これは身体能力の高い選手にとっては、ある意味で臨機応変に打つことが出来て、その分ショットの多様性が広がります。しかしテニスは最終的にはコントロールの勝負となります。ラケット軌道をなるべく一定にして、自分が考えているところにピンポイントでボールを打つ事が最も重要な作業となります。その意味で、身体能力の高い選手の手打ちの場合、ラケット軌道が非常に良い場合も勿論、含まれますが、しかし全体として軌道のバラツキが大きすぎる事になっています。このため、手打ちでは例えば、１ｍ四方の決められたエリアに打ち込める確率が一般的に低くなってしまいます。
それではどのようにしたら、彼女は安定したフォアを打つ事が可能でしょうか？これは本人に直接、話さない限り伝達は難しいものと思われますが、基本的にまずはボールをラケットと腕、腰、上半身が一体となって壁を作り、ブロックしてボールを打つ方法をマスターすることです。これは現在の彼女の打ち方とほとんど直交しているので、そう簡単ではないと思われます。しかし、一度このうち方をマスターすれば、様々な応用が可能になり、勿論、強打の方も充分、安定して打てるようになると思います。
それともう一点。彼女のラケットのガットテンションがどのくらいか分かりませんが、今のスピンでは不十分です。もっと強いスピンを掛ける方法をガットテンションを低くしたりして、様々に工夫することが必要です。これはしかし、それ程難しいことではないので、自分で納得しながら実行して行けば、いずれ可能なことだと思われます。
今回、全豪オープンテニスに出場した日本人選手の中では日比野菜緒選手が身体の能力の高さを感じさせてくれました。しかし彼女もやはりフォアがかなり手打ちとなっています。フォアが腰の回転でしっかり打てるようになれば、彼女は相当に、活躍するものと思っています。

卒業生の皆様へ　:　錦織選手のサーブ

[特別版]　☆　　　２０１７年６月　　：　「２段引き」　
昔(２０年以上は前か？)、船橋校舎のテニスコート(ABCD)は一般学生も利用できたため、何時も(特に土・日は)テニス好きの学生達でいっぱいでした。その意味で、昔のテニスブームは多くの初心者を巻き込んだスケールの大きなものであったと思われます。それと比べると現在のテニス人気は人々が自分でプレーするというよりも、テレビで見る方の人気が先行している感じが何となくしています。
そのテニス人気の理由の一つに、現在、プロテニスにおいて日本人選手が活躍していると言う事実があると思います。特に錦織選手の活躍は目を見張るものがあります。フォアもバックも強いし、それ以上にコートセンスが類を見ないほどに優れていて、実に素晴らしいものです。彼の場合、このようにほとんど全てのテニス技術において桁外れの強さを持っているのですが、しかし残念ながら彼のサービスには重大な欠点があります。それは彼のサーブは「２段引き」になっていることと関係しています。すなわち、一度引いて、一瞬止めるような動作になり、それから再び大きく引いておきながら反転してボールを叩きます。しかしこれだと、どうしてもコントロールの精度が悪くなります。これは力学的に見てみると良くわかることですが、一言で言えば「最初の動き出しの起点となる位置が一定しないためラケット軌道が少し不安定になる」と言うことです。恐らく、２段目の引きでどのくらい引いたのかはその日によってバラツキがあり、このためラケットの始動の位置に少しずれが出てしまうものと考えられます。このズレが例え数センチだとしてもラケット軌道にバラツキが生じるため、１８ｍ先に２０ｃｍ程度の精度でボールを打ち込もうとした場合、どうしても困難が生じてしまうと考えられます。彼のサーブでそのコントロールを改善するためには、２段引きを修正する事がまず、必要かと思います。恐らく、本人はこの「２段引き」に対する意識はあまり持っていないのではないかと推察しています。
昔、テニス部やドルフィンの学生の中でも、レギュラーの主要メンバーにもかかわらず２段引きをしている選手がたまに見受けられたものです。しかしプロのようなサービスの精度を要求されるわけではないので、特に問題となることはなかったと記憶しています。最近は船橋校舎でテニスをする機会が少なくなったし、またコート上に学生があふれているという状況にほとんど遭遇したことがないため、「２段引き」でサーブを打つ学生がいるのかどうか自分にはわかりませんが・・・。
■　[追記]　２０１８年２月　　：　錦織選手の新しいサーブを見ましたが、２段引きはかなり改善されていました。これをうまく続けて行けば、フェデラーなみのコントロールを持つサーブになる可能性を感じましたね。後は、サーブのフィニッシュにおける手首の返しのバランス問題だけですが、これは手首を怪我した後でもあり慎重に行う必要があるように思われます。いつの間にか悪弊をしっかり直されると言うのはさすがに超一流の選手だと感心しました。

[fffujita@gmail.com]

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[ ディミトロフのスライス]

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卒業生の皆様へ : 大坂選手の弱点(5) (２０２４年７月)

卒業生の皆様へ : 大坂選手の弱点(4) (２０２４年６月)

卒業生の皆様へ : 大坂選手の弱点(3) (２０２４年４月)

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[付記１]：ディミトロフのスライス [２０２４年３月末]

卒業生の皆様へ : 大坂選手の弱点 (２０２１年９月)

錦織選手の改善点 : インディアンウェルズの試合を見て (１０月)

卒業生の皆様へ : フォアのストロークの精度 (２０２１年５月)

卒業生の皆様へ : サーブトスの上げ方 (２０２１年４月)

卒業生の皆様へ : 「ナオミ時代到来か？」 (２０２１年２月)

卒業生の皆様へ : 全仏オープンでの日本人選手 (２０２０年１０月)

卒業生の皆様へ : 大坂なおみ選手の全米オープン優勝 (２０２０年９月)

卒業生の皆様へ : 全豪オープンの日本人選手 (２０２０年１月末)

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卒業生の皆様へ : 錦織選手のサーブ (２０１８年１２月：完)

卒業生の皆様へ : 大坂なおみ選手のフォアハンド

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