卒業生の皆様へ : 日大執行部の機能不全 (2021年12月)
日大の理事長と理事が脱税と背任容疑で逮捕されました。これは日大の学生・卒業生に取って様々な意味でショッキングなニュースであった事でしょう。勿論、学生・卒業生とは全く関係ない事であり本当に迷惑な話ですが、しかし日大の名前が出ている事は確かで、非常に嫌な思いをされているものと思われます。日大の教職員もいずれ大きな影響を受けるものと考えられますが、しかし教職員は学生とは本質的に異なります。あのような理事長が大学のトップにいたこと自体が正常な大学では考えられない事態であり、これが一番の問題点であったことは確かです。しかし学生側からしたら、教員は同じ組織の一員として大学の教壇に立っていたわけです。その意味で、学生に対して、教員の道義的責任は免れません。自分も長い間、日大の教授として在籍したものとして、大学がこのような不祥事を起こした事に関して、学生に対しては本当に申し訳ないと思っています。
2010年前後から確かに、日大は基本的な方向がずれ始めていました。それ以前は他大学と比較しても格段に学生の面倒をよく見る大学であったと自分は考えていました。しかしその姿勢は次第に薄れて行き、その内に大学内部でも『学生を物扱いしている』と言う批判を一部の教員から聞かれるようになっていました。そしてその後、その傾向は強まるばかりでした。物理教室に起こった一つの事例として、学生達としばしばトラブルを起こしたA氏は逆に『あの学生は危険分子だ』と言い出して学生を攻撃する始末でした。現在の大学のシステムでは学生は常に弱い立場にあり、これにはどうにもやりようがないものでした。結果的には自分も半ば追い出される形で大学を辞めましたが、今となってはそれらの『事件』も底流においては今回のような事件と全く無関係とは言えないと感じているものです。すなわち、『教育優先』と言う当たり前の事を放棄して『大学の管理・運営』を優先すると言う異常事態です。尤も、理事長達の逮捕に関しては『金銭の問題」が強く絡んでいるようで、これは犯罪レベルまでに逸脱しており深刻さの次元は違いますね。しかし学生にとっては『教育優先』の欠如の方がより本質的に重要な問題となっていると考えられます。
日大の学生・卒業生諸君の中には『日大は学生の面倒見が良く、温かみのある大学であり、その良さを実感している』人達も数多くいるものと思っています。2000年以前の日大は東京の他の有名私立大学と比較しても、際立って学生を大切にする大学であったことは間違いない事です。今後、『教育よりも管理・運営を優先』すると言う狂った歯車を『教育優先』と言う元の正常な状態に戻す必要があります。今の流行りの言葉で言えば『学生ファースト』の状態にすると言う事ですね。現在の日大を見る限り、これは相当、大変で時間が掛かるものであろうと考えられますが、しかし必ず、それが実行される必要があります。そして、いずれそれが可能であると信じているものです。
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