地球温暖化理論の解説 : CO2温暖化理論は間違い!
☆ 放射冷却 :
CO2 による地球温暖化の問題が随分前から議論されています。しかしこれを物理的に検証してみると、CO2 が地球温暖化に対して重要であるとする物理的なメカニズムを見つけることはできません。地球の冷却を考える場合、地球はその熱を放射冷却により失っています。すなわち、地球表面からの輻射(電磁波)がどのように地球外に放出されるかと言うことがこの地球温暖化問題のすべてです。電磁波が大気中の水蒸気と散乱し吸収されて放射冷却を防ぐと言う物理機構は勿論、最も重要であり、これが地上の温度をある程度一定に保つ大きな要素であると考えられます。これはしかし、今問題にしているCO2 による地球温暖化と直接の関係はありません。
☆ 赤外線の共鳴吸収 :
それ以外に放射冷却を抑える機構として、電磁波がCO2などとの共鳴散乱によりそのエネルギーが吸収されると言うものが考えられます。例えばCO2 があったとして、それがフォトン(この場合は赤外線)を吸収して、さらにそのエネルギーを再び地上に返すという機構です。CO2 による赤外線の共鳴吸収がある事は観測事実です。しかし問題はその量です。この計算はそれ程、大変なものではなく、黒体輻射として放出されているフォトン(今の場合は赤外線)のエネルギーをCO2 による赤外線共鳴反応によってすべて温暖化に寄与したとして計算する事が出来ます。これは明らかに過大評価となっていますが、現実にはこのエネルギーをすべて足しても現在知られている温暖化に必要なエネルギーの1%以下であることが分かっています。
☆ Green house effect :
それでは何故、人々は温暖化の原因を炭酸ガスによるものと考えたのでしょうか?これは1980年代に米国の学者達が Green house effect と言い出した事から一般的な定説となったと言われています。しかしそれでは何故、この学者達は Green house effect を主張したのでしょうか?これは実は19世紀後半(1890年代)に Arrhenius が書いた著書が主な原典のようだとわかっています。確かに19世紀後半に何人かが温室ガス効果を議論しています。しかしこの時代、まだ量子力学は発見されてはいません。さらに人々は光は波動であると考えていた時代です。従って、光の共鳴吸収を正しく扱う事は勿論、不可能な事でした。しかし人々は彼らの推論を受け入れてしまい、このためCO2による地球温暖化の話が定説となって、現在に至っていると言うのが実情です。
☆ Arrhenius の理論 :
Arrhenius の理論について詳しい事はわかりませんが、光の散乱は古典電磁気学によって計算されたものと推察しています。例えば、よく知られている Rayleigh 散乱は古典電磁気学での計算ですが、この計算には問題があり量子論的な計算とは全く合わない事が分かっています。 [Rayleigh 散乱] 参照。従って、この式を共鳴吸収の問題に応用したらほとんど物理的には無意味な結果が得られるものと考えています。
☆ 電磁波の吸収 :
電磁波の吸収により放射を遮蔽できる最も重要な物質は水蒸気(水滴)です。この事は、電子レンジで電磁波の吸収が起こるのは液体の水のみで「水分子ではない!」という事実と関係しています。水による電磁波吸収については電磁気学の教科書に解説してあります。 [電磁気学 (現象と理論)]
☆ 赤外線と大気CO2の散乱確率 :
ここで一つコメントをしておきます。それはフォトン(赤外線)が空気中のCO2とどのくらいの確率で散乱するかと言う事が理論物理の立場からしたら重要になっています。上記に解説した赤外線の共鳴吸収によるエネルギーは散乱確率が1であるとしています。現実には赤外線が大気中のCO2と散乱する確率を計算して、それを赤外線共鳴吸収によるエネルギーに掛ける必要があります。そしてこの計算によれば散乱確率は大雑把に言って 0.006です ( 赤外線と大気中CO2の散乱) 。これは大雑把な評価ですが、大きさは信頼できるものです。つまり赤外線はCO2とほとんど散乱さえしないと言う事です。従って炭酸ガスによる温暖化など到底、考えられないものであると言う事ですね。
☆ 化石燃料 :
しかしながら、化石燃料を使えば、それが地球温暖化につながる事は間違いありません。しかしこの場合、原子力発電によるエネルギーも同等に寄与します。問題となるのは、そのエネルギーの総量です。これを具体的に比較するために、地球内部を暖めている U-238 の崩壊エネルギーと比べる事が一つの方法と考えられます。しかし、現在使用されている化石燃料のエネルギーはこのU-238 の崩壊エネルギーと比べるとまだ十分小さいものと言う計算結果が得られています(但し、これは単純な計算による評価なので信頼性はそれ程高くはない・・・)。従って、これが地球温暖化に対して主要な寄与となっているとは、現在のところ考え難いものです。むしろ、海底火山の爆発エネルギーがほんの少しにせよ海水温を上昇させると、これに応じて水蒸気が増えてしまうため、これは確実に地球温暖化に寄与する事になります。実際、北極海の氷が予想以上に溶けてしまうのは、海底火山の影響と関係あるのではないかと推察されています。この海底火山は、そのエネルギーが U-238 の崩壊エネルギーであり太陽のエネルギーではない事から、温暖化に直接関係しています。
☆ 太陽の脈動運動 :
いずれにしても、地球温暖化の問題はそう単純ではありません。一つの可能性として、太陽の脈動運動との関係も考えられます。太陽も含めて、普通の恒星は多かれ少なかれ必ず脈動しています。例えば我々の太陽はその内部で水素を燃やして He を作る核融合反応を行っています。この場合、コアのある部分の水素が燃えるとそこは当然、輻射圧が少し高くなります。そしてこの高い輻射圧により、そのコアの外側部分の物質密度が少し減ります。そうするとその部分の圧力が下がり、それに伴い温度が低下します。この場合、その部分のコアにおける核融合反応が低下し、輻射圧が下がります。そうするとそこに外側から物質が降下してコアと衝突を起し、そのため今度はそのコアの部分の温度が少し上昇します。このため、そのコアの部分の核融合反応が上昇し、それ故、輻射圧が上昇します。この運動の繰り返しが基本的には脈動に関係している現象と考えられます。現在の太陽において、その脈動のスケールと周期は良くわかりませんが、様々なレベルのスケールと周期が混在しているものと思われます。恐らくは、氷河期の繰り返しはこの脈動現象のうちの一つと直接関係しているものと推察しています。
☆ [付記] 地球温暖化に関して、極めて初歩的な事が分かっていない物理屋が相当数いる事に驚いています。特に、大気の流れなどの解析をコンピュータシミュレーションにより行い、この事から地球温暖化問題を議論している物理屋がいますが、これには本当に困ったことです。地上における大気の熱伝導をどれ程、詳細に計算したとしても、その事は地球温暖化とはまったく無関係です。これは地球上のある地域の気候変動に関して推論する事はできますが、地球全体の冷却を取り扱う事は出来ない事だからです。
地球の冷却が電磁波の放射によってのみ行われると言う事実は地球の外側が真空であることから熱伝導が遮断されているからですね。この事は物理屋以外の人達にとっても常識ですが、しかしこれが理解できていない物理屋がまさか最近でも存在しているとは普通では考えられない事です。
そして放射冷却においてはその輻射エネルギーは赤外線領域となっています。これは地球表面の黒体輻射が約300Kであることから来ています。従ってこの赤外線が大気に吸収されるかどうかと言う検証が温暖化問題の本質です。この場合、本文で解説しているように、赤外線がCO2によって吸収されるかどうかは、その共鳴状態の性質に依存しています。CO2 の赤外線共鳴状態の測定は近年の実験によって初めてなされたものであり、20世紀以前ではCO2の赤外線共鳴に関する詳細な情報を得ることは不可能な事でした。このためどの程度、CO2によって赤外線が吸収されるかと言う問題を評価する事は最近になって初めて理論的に可能となっています。これが1890年代の温室ガス効果による地球温暖化の理論が全く無意味である事の理由の一つですね。
[場の理論計算の参考教科書]
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