うるう秒の物理 : 地球の自転 (2018年1月) [書き換え 2024.7]
現在、ここで解説している『うるう秒の物理』は十分とは言えない点が少し含まれています。特に一般相対論が物理的に無意味である事が証明されているため、一般相対論関連の記述は結果的に不要なものとなっています。しかしながら、このまま、以下にその解説を載せておきます。物理の難しさをある程度、理解して頂ければと考えています。
現在、『水星の近日点移動』が水星軌道の1周期では起こらないと言う事が厳密に証明されています。これまで、近日点移動が起こるポテンシャルとして U(r)=-α/r^2 の形を考えていました。しかしこのポテンシャルは非可積分であるため、Newton 方程式をきちんと解くと軌道に不連続性が現れる事が証明されています。これまでの一般相対論による『水星の近日点移動』の説明は、そのポテンシャルがどのように求められたかは別にして、水星軌道の不連続性によって『水星の近日点移動』の観測値を再現できるとしていました。詳しい解説は小ノート [ 何故、一般相対論は無意味か?] の第2,3章を参照して頂ければと思います。
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[うるう秒] : うるう秒とは何か? (2018年1月)
うるう秒とは地球の公転周期がニュートン力学で求められた公転周期からほんの少しずれていると言う現象です。うるう秒が発見されたのは、観測上、地球公転周期(近日点から近日点)の精密測定が通常の公転周期から毎年少しずれていると言うことに拠っています。この時間刻みは最初、地球の自転周期と比較して行われましたが、この時間の正確さを保証することが出来たのは原子時計のおかげです。この原子時計は13桁近い精度を持っているため、地球の公転周期を正確に測定することが可能となっています。公転周期に対するうるう秒の大きさは約1億分の1なので、この測定は充分可能であると言うことです。
☆☆ 地球の自転
地球の自転は真空中における剛体の自由回転運動となっているため全く抵抗がなく、従ってその周期を刻む時間は非常に正確です。この場合、地球の自転の正確さと原子時計の正確さのどちらが勝っているのか、非常に興味はあります。例えば、Cs原子時計の誤差は、現在のところ周りの物質の影響によるものと考えられています。一方、地球の自転の場合、その周期に影響するものがあるとしたら、どのようなメカニズムがあり得るかと言う問題がはっきり分かっていません。一つだけ可能性があると考えられているのは、地球内部で何らかの理由により物質がほんの少しでも中心に向けて落下した場合です。この場合、落下が起こった瞬間に地球の慣性モーメントがそれに対応して小さくなるため、回転エネルギー保存からそれ以降、自転が少し早くなる可能性はあると思われます。しかし、この変化は起こったとしても極めて微少量であり、さらに突然、起こる現象であるためここで議論している自転周期の正確さとは直接の関係はないと考えられます。
☆☆ 地球の自転に潮汐力が影響する?
ところで、 地球の自転に対して、月の潮汐力が効いてその自転周期が少し遅れるという話が、ネット上ではまかり通っているようです。これには驚いたと言うよりもむしろ、悲しくなってしまいますね。確かに、これは力学の基礎を全く理解していない人達が珍妙な理論を主張しているだけの事ですし、また実際、ほんの一部の人達の暴走だとは思っています。しかし長年、力学の講義をしてきた物理屋としては、やはり色々と考え込まざるをえません。この人達に誰がどのように力学の基礎を教えたのかと言う問題です。潮汐力(重力)は保存力です。保存力が仕事をしない事は、大学2年生で力学を勉強した人なら当然、理解していますね。ちなみに、力Fが保存力とは F=−∇U と書ける力 (または ∇×F=0 の力) の事を言います。この場合、仕事 W は W=∫Fdr となりますが、これはA点−B点−A点と積分するとゼロになります。すなわち、保存力は仕事をしないことが分かります。 [(注) 大学1−2年生が読まれる場合の事を考えて、非保存力の解説をしておきます [ 非保存力の解説 ]。
従って、潮汐力が地球内部の質量分布を変更することはできません。さらに珍説では、潮汐力によって質量が少し表面方向に引っ張られるため、慣性モーメントが少し大きくなり、このため回転エネルギー保存から自転が少し遅れるという論法です。しかしこの話はさらにひどくて、これは地球内部の重力に逆らうことになっていて、重力場におけるエネルギー保存を破っています。まさか、物理学科の卒業生がこの様な怪しげなお話を信用することはないと思いますが、しかし年齢を重ねても物理を勉強し続けるという姿勢は常に持ち続けて欲しいものと願っています。講義の時に何回もお話しましたが、物理を深く理解することは非常に難しくて、どんなに勉強してもし過ぎる事はないものです。
☆☆ うるう秒の物理
うるう秒はニュートン方程式に対する相対論的な量子補正効果です。この理論の解説は教科書 [Symmetry and Its Breaking in Quantum Field Theory] および [Fundamental Problems in Quantum Field Theory] で説明されています。この重力理論に関しては、物理が好きな物理学科の4年生ならば充分、理解できるレベルの理論体系なので参考にして頂ければと思います。ここで大雑把な相対論的な評価を簡単にしてみたいと思います。相対論的な効果は、質点の速度 v と光速 c の比の2乗によって大まかには決まっています。地球の公転速度 v は約 0.0001 c なので (v/c) の2乗は1億分の1となります。一方、うるう秒の効果は約1億分の2です。従って、確かにこのうるう秒の大きさが相対論的な効果であることが納得できると思います。具体的な数値としては、1年は 31556925.13 秒(365.242189 日) ですが、うるう秒の補正はこれに 0.62 秒プラスされています。これは観測で初めて分かったことですが、新しい重力理論の予言値はこの値と確かに一致しています。
☆☆ 時間とは何か?
結局、時間は基本的には天体運動によって決定されています。その周期から時系列を定義して、その基準をもって色々な事象が測られています。特に、生物は地球の自転周期の影響を非常に強く受けてきたと考えられます。人間はこの場合、まずは地球の自転から1日という時系列を作成して時間を理解しようと努めています。しかしながら、時間は空間と異なりその本質を捉えることは非常に難しく、あるいは不可能な事かも知れません。
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